星屑の煌めき
(復活/雲雀)キミオト
「ふん、ふぉ……ぐっ!」
「……」
「あぐ、が…………こ、腰がぁぁ!」
「なにしてんのザビ子」
「ちょっと恭弥くん、聞いて下さいよ。
昨日ウチの兄貴ったら酷いんですよ、私のティラミスを勝手に食べちゃったんです、酷くないですか!?」
「そう。凄くどうでもいい」
「クールですね。で、私のティラミス食べたでしょって問いただしたら兄貴の奴、なんて言ったと思います?」
「知らない。知りたくもないし考えたくもない」
「『アレは旨かった。正しく私を天国へ連れて行っての名に相応しい』って!
頭可笑しいと思いません!?」
「まあ、君達兄妹だし感性は似通ってるよね。中身もそっくりだ」
「全くですよあのクソ兄貴、酷いと思いませんか?」
「別に。所でザビ子はなんで先刻から腰擦ったり捻ったりしてる訳」
「ん? いや昨日兄貴とガチ喧嘩してコッテンパンにやられたんです……腰を痛めたようで、先刻保健室でインドメタシン塗って貰った上から湿布を貼ったんですけど……痛くて痛くて」
「へえ。あ、僕良い民間療法知ってるよ」
「え、なんですか?」
「腰が痛いなら腹を思いきり殴ると治るって聞いたんだけど」
「やだァァアァァアア、恭弥くんたら目がキラキラしてるー!」
「────────逃げるな、草食動物」
「自分狼ですから肉食ですぅぅうぅうう!!」
「ほら、せーので行くよ」
「ィやめれー!!」
「手元が狂うじゃないか、逃げない方が身の為だよ……?」
「ストップ雲雀くん……じゃなくて、ストップ恭弥くん!! 室内での抜剣抜刀抜宝具並びにトンファーなどのご使用はご遠慮頂いておりますぅぅぅ!!」
「よし。じゃあザビ子が止まるっていうなら僕も攻撃の手を止めよう(保証はしないけどね)」
「おーい、今なんか括弧でなんか言ったろう恭弥くん」
「言ったかな? まあ取り敢えず、動くな」
「恭弥くんこそドントムービー! 動かないでくれたら私も止まりますっ」
「そう。じゃあ一応止めたげる」
「よっしゃ隙有りドアまで一直線────!!」
「だろうと思った」
「ぶばぼ!!?? ……ぉ、殺す気ですか恭弥くん!?
ドアまで全速力で走って行っていた私にラリアット食らわすってどんな神経してんですかアンタ!!
仮にも……仮にも私、まがりなりにも女の子なんですからね、他の風紀委員の連中とは違うんですよ!?」
「ッハ。なにそれウケんね」
「死にたい、私もう死にたいですぅ……!!
確かこの国は全ての自国民は等しく人権を持てる国なのに、なんでこーも恭弥くんは私に人権を持たしてくれないのですか!?」
「…………分かんない?」
「ワッツ!? なんて!?」
「君。どんだけ鈍感なの? まだ分からないの?」
「は? な、なにがですか……?」
「本気でムカつくねザビ子、なんでこんな馬鹿な子の事を、僕が好きになんなきゃいけないんだ?」
「…………っえ?」
「もう良いや。僕にしては忍耐強く待った方だし、強行手段を執らなきゃ君は永久に分かってくれなさそうだし。
ホントになんで、いつの間にかこんなにも君の事好きになっていたんだか……自分の趣味を疑うよ」
「は……な、なんと申した恭弥くん?」
「お誂え向きに、この応接室のソファは人が横になっても十分な広さがあるし、スプリングもしっかりしてる。
────────更に腰が痛くなっても、僕を恨まず自らの愚鈍さを恨むんだな」
「え、ちょ、なん、待っ────────ホギャアァァアアァァアアァァアアア!!!!」
キミの鼓動と僕の鼓動が溶け合っていく、そんなオトがする。
二つの心音が重なり合って、一つになって消えていく。
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