星屑の煌めき




(無双/三成)逢魔が狂いし夕闇に




「三成さま。わたし、思うんですよ」

「なんだ。用なら手短に言え」

「なァんか、こっちの世界の方がある意味平和な気がするんですよぉ……戦国の世と違って、過去の偉人とこうして話す機会なんてそうそうないですよ、ね、曹丕そうひさん?」

「そうだな。私も未来の事を知れて良かったと、遠呂智に感謝を覚える程だ」

「だが、その所為で民は更なる混乱を強いられたのだぞ。その苦悩を努忘れるな、子桓しかん

「あっれれ〜。三成さまったらいつの間に曹丕さんの事をあざなでお呼びする様になられたんですか?」

「……」

「ザビ子、聞いてやるな。三成には三成なりの重んじるモノがあるのだ。
その証に……この乱れた世界に於いても尚、己れの信君を守ろうと奮起しているのだろう」

「へえ〜、なーんだか意外ですね。
……三成さまの事だからのびのーびと羽を伸ばしになられるかと」

「拾われた恩義を忘れるは犬畜生と同列だ、武士オ レは一度与えられたモノはそう易々と忘れはしない」

「とどのつまり、三成さまも意外に熱いおとこって訳ですね。
いつもは冷静ぶってますけどここぞって時は頼れるお方なんですよぉ、曹丕さん」

「ふむ。お前も中々義に篤いのだな、三成」

「ザビ子、喧しいぞ。口を動かす暇があるのなら策を練る事をしろ、次の戦地の地形、及び風土などを調べて来い」

「はいはァい……忍使いが荒い御主人様を持つと大変ですっ」

「ならばザビ子、私の元に来い。私なら破格の待遇で迎え入れてやろう。
三成の元にいてはお前の才も咲き誇れまい」

「えー、曹丕さんの所ですかぁ?」

「────……っ」

「普通に丁重にお断りします。だって曹丕さんは三成さま以上に部下の扱いが酷そうですし」

「ふん、つれない女だ」

「……っ」

「それとですね。わたし、三成さまと一生を添い遂げると契約を交した身なので、そう簡単に鞍替えは出来ないんです」

「ほう。その様な契りを交したのか、三成」

「ザビ子、貴様誤解を生む様な言い回しはよせとあれ程言っただろ!!」

「あれ? そうでしたっけ? でも何か三成さま、あの時────『死ぬまで俺の傍を離れるな、死んでも俺の傍に居ろ、これより先俺の許可無しに勝手に死ぬ事は許さぬ』って仰ってたじゃないですかぁ?」

「な────────……っ!!??」

「こーんな恥ずかしいセリフを、血腥ちなまぐさい戦場の片隅で言ってのけちゃうなんて、さっすがわたしの三成さまですっ。
そうは思いませんかぁ、曹丕さん?」

「ああ。その通りだ、流石お前の三成だな……クク」

「貴様等…………俺の邪魔をするならここから即刻立ち去れ!!!!」

「わふー、追い出されちゃいましたね曹丕さん」

「そうだなザビ子」

「じゃあわたしは仕事でもしてきますね〜。
────────嗚呼、そうだ。曹丕さん」

「なんだ、まだ私に用があるのか」

「わたしも曹丕さんの事、字で御呼びしても宜しいでしょうか?」

「────────構わん。お前の好きにするが良い」

「はい。それじゃあ子桓さん、わたしはこれにて失礼致しますね、子桓さんもお仕事、お疲れの出ません様に」








































特別なのは、わたしだけにして欲しいのだ。

三成さまが子桓さんの事を特別扱いしてるみたいで嫌なので、わたしも子桓さんの事を字で御呼びすれば、三成さまにとっての特別じゃなくなるでしょう?

「────わたしだけを見ていて欲しいんですよ、   さま……」













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