星屑の煌めき
(銀魂/銀八)ごく平凡な日常
「春麗ー、もう初夏だけどー、細かい事は気にしな〜い」
「オ〜イそこの不良娘、屋上であにしてんだー」
「ありゃ。銀八せんせ、お早う御座います」
「ありゃ、じゃねぇぞザビ子。お前もう授業開始のチャイム鳴ってんぞ」
「飛び降り自殺はしないから安心して下さんし☆」
「んな事訊いてんじゃねーって分かってる上での返答だな、ソレ。この確信的ボケは本気で面倒臭ェ」
「銀八せんせ、今日も良い天気ですね。こんな心地良い晴れやかな天気なので、教室に居たくないのです」
「はい不思議発見、そのお前の周りに広げられているピクニック気分はなんですか」
「ピクニック気分じゃない、純然たるピクニックです」
「学校来てまでピクニックするな! あー、でもなんか飯時前だから無性に美味そうに見えるな……」
「銀八せんせ。一緒に食べませんか?」
「え、なに良いの? ってかなんか明らかに俺に向けて作られたゾーンがある気がするんだけど」
「銀八せんせが来る事を願ってせんせの好きなモノ尽くしで作ったお弁当です。私の厚焼き玉子はクラスでも美味しいって評判なんですよ?」
「お〜……こんだけ離れてんのに甘い匂いがプンプンするな。
どれ、一つザビ子の手料理を馳走になるとすっか」
「ええ、どうぞおあがり下さいまし。銀八せんせが食べてくれないと定春にあげる所でした」
「危ねッ、危うく定春に食われるとこだった! 定春に食わすぐらいなら俺が意地でも食うぞ」
「良かった。じゃあとりあえず────……よしっ」
「? なにその指パッチン。どっかの男テニの部長、ないし、英雄王の真似か?」
「いえ、ただの合図ですので銀八せんせはあまりお気になさらず?
あ、今レジャーシートを敷くので少々お待ち下さいませ〜」
「デカッ。なにそのレジャーシート、団体用じゃねぇ!?」
「そうですか? いつも私が使ってるやつなんですけど。神楽と二人でピクニックした時に使用したんです」
「胃袋娘と飯囲むならまあこんくらいは妥当だな、うん。
然し、なにこの五重箱……俺初めて見た、弁当箱を五重箱にする奴。然も女子で」
「別に全てを私一人で食べようとしていた訳ではありませんよ。人をそんな大食漢みたいに言うの止めて下さいませんか。
これは、神楽の分です。銀八せんせのはこっち、三重箱です」
「うわ、豪勢だな……まさか昼飯に三重箱の弁当食うとか夢にも思わなかったぞ、先生はビックリですよザビ子」
「あ」
「んだ。どうした急にそんな間抜けな声上げて」
「お箸が一膳しかないです」
「よォしザビ子、ここは一つ俺とじゃんけんをしようじゃねーか。買った方が先に箸使える権利を取得する訳だ」
「やだなぁ銀八せんせ、そんなまだるっこい事しなくても済む方法があるじゃないですか」
「あん? ねーよそんな画期的な方法」
「私が箸を使って、銀八せんせに食べさせるっていう画期的な方法があるじゃないですか」
「いや、それは普通に無作法だろ、お前ん家それなりの名家なんだからそれくらい分かるだろぉが」
「ですがここには私と銀八せんせの二人しか居ませんよ、咎める人は誰も居ないのです」
「……………よし。ザビ子がそこまで、どうしてもそうしたいってんなら、その方法を執らせてやる」
「本当ですか? じゃあ銀八せんせ────手始めにどれが食べたいです?」
「最初は……そうだな。お前の一番の自信作を食わしてくれよ」
「はいっ。それでしたらこの厚焼き玉子をば。せんせ、あーん」
「あーん…………っ。……んむんむ、ふむ……」
「…………ぉ、美味しい、です、か……?」
「────美味い……お前料理上手いのな、将来良い嫁さんになれっぞ」
「ぁ、有り難う御座いますっ! じゃあ次はこの筑前煮をどーぞ」
「甘いモンの後に煮物食わすお前のそのハイセンスは俺ちょっと残念に思うわ」
指ぱっちんはザキくんへの合図で『屋上へ続く扉に、何人たりとも屋上への侵攻を許すな』の意味でした。
「うぅ……なにが悲しくて好きな娘が他の男とイチャついてる現場を守んなきゃならんのだ……」
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