星屑の煌めき




(復活/黒曜)透き通る程に清い恋心




「はぁい全員注もォォォォく!!!」

「…………なに、ザビ子」

「ウオォォイ!! 全員っつってんのになんで千種しかこっち見ないんだよ!!」

「ザビ子煩ェびょん、オレ今忙がしいんらびょん、暇潰しなら独りでやれよ」

「僕も貴女の欲求を満たしてあげられる程、暇をしていませんので」

「千種ァ、もう私が大幅に信頼を寄せるのは君だけさぁ……!」

「……ザビ子、人間の脊髄反射現象って知ってる?」

「? いや普通に存じあげてますが……それがなにか?」

「……急に大きな音、光、振動があると人間はそちら側に意識が向いてしまう」

「つまりそれはアレか、今私が大声あげたから千種は私を見ただけか? ん?」

「……あらずんば」

「非ずの如しぃぃぃぃ!!!」

「……煩い。で、ザビ子はなんでいきなり奇声、もとい大声をあげた訳」

「うおぉ……誰かザビ子に優しくしてくれぇ」

「……ザビ子。用件は」

「うぅ…………あのな、千種は今日……その、あれ。何の日か存じあげてますか?」

「……一応。ザビ子の言わんとしてる事も察する」

「あン? 今日ってなんらあったびょん?」

「今日ですか? …………なにもない気がしますが、これと言ってなにもないごく平凡的で普通の平日の昼下がりです」

「千種ぁ、コイツらボッコボコにしても私は罪に問われないよな」

「……俺は止めないよザビ子。やりたきゃやれば、止めんの、めんどい」

「千種ァ!? とめて下さい、ザビ子を止められるのはお前ぐらいなんですから止めて下さいよ!!」

「そーらろ柿ピー、おめーが止めなきゃ誰がザビ子止めるびょん。俺は骸さんの物言わぬ姿なんれ見たくねーれす」

「ちょ、なんで僕だけザビ子に殺されるんですかなんで僕だけ死ぬ前提なんですか!?
意地でもお前も道連れしてやりますよ犬!!」

「嫌れすよ、死ぬなら骸さん独りで死んでくらはい。オレまだ死にたくねーれす」

「僕だって死にたくないです!」

「煩ェよおめーら!! 誰が好き好んでお前らみたいな屑を殺すかァァアァア!!」

「……骸様、犬。今日ザビ子の誕生日」

「盛大に祝えよバカヤロー」

「ンなくっだんねー理由で殺されるなんて死にきれねーびょん!!」

「下らない言ーな、本人にとっちゃまた一つ年を食ってしまうという一大イベなんだからなコノヤロー」

「そうでしたね。まあ。とりあえず祝辞だけは送ります。
誕生日おめでとうございますザビ子、これでまた一つ年を取りましたね、でもコレは基本サザエさん方式で年を取らないのですが」

「うん骸、でもね私は確実にまた一つ年を重ねてしまっているんだよ。私はどう足掻こうともサザエさん方式に便乗出来ないんだよ」

「ザビ子、そんな大人の都合……というか現実的なアレはよして下さい」

「…………めんどい。ザビ子、これあげる」

「おん? なになぁに千種改まって、なにこれ袖の下? ないし、山吹色の菓子か賄賂?」

「……馬鹿? ザビ子、先刻自分で今日何の日か言ったろ」

「ぁ……いや、そのうっかり…ていうか、君はこういうモノを贈らない人間だと思っていたから……。
有り難う千種、これ開けても良いかな?」

「…………ん」

「────指、輪ゆび、わ? リングの内側に宝石が埋まってる……これ、確か……その……こ、恋人同士が互いの誕生石が埋め込まれた指輪を交換しあうって奴じゃ……」

「…………それ、俺の誕生石のローズクォーツ。ザビ子の誕生石のムーンストーンは、俺が持ってる……」

「……千種っ、これって……」

「…………要らない?」

「まさか! ぁ……えと、そのォ……ぁ……あり、がとう?」

「……ん、おめでとうザビ子…………有り難う、生まれてきてくれて」

「…………千種……」

「ストォオォオオップ!!!!
なんですかこのぽややんとした空気、なんですかこの変な雰囲気、なんですかこの二人だけの空間的なニュアンスは!!
僕達も同じ空間にいるって事を忘れないで下さい、こんな昼間っから甘ったるい空気醸し出さないで下さい!!」

「オレは別にどーれもイーれすけろ……なんれ骸さん半泣きなんれふか」

「う、煩いですよ犬、犬の癖に僕に意見しないで欲しい、僕は別に泣いてなどないです、ただちょっと目に塵が入っただけですから。
なんですかその疑う様な目は……ああもう良いですよ!? あーはいはい半泣きですよつかもう泣きそうですけどね!
別に悲しくて泣いてる訳じゃありません〜、昨日見たドラマの最終回を思い出して涙ぐんでるだけですからね〜」


「…………骸。アンタはなんて頭の可哀想な性格してんだ……ザビ子ちゃん泣きそう、ほろり」

「滅茶苦茶顔笑ってんじゃないですかザビ子! 泣きそう所か楽しんでませんか貴女!?」

「見て見て千種、右手薬指に填めてみましたっ」

「……ん」

「だからその二人だけの世界を醸し出すの止めろって僕先刻言ったじゃないですかァアァァアア!!??」

「千種……その、将来は……左手薬指こ っ ちに指輪をしたい、です……なぁんて……」

「……まだ、ちょっとだけ無理だから……もうちょっと待ってくれない」

「っ……うん、待ってるから、だからなるべく早く頼むね」

「骸さん、もうアレにはオレらの声なんて聞こえちゃねーれす」

「グフぅ……ザビ子、僕と愛し合ったあの日々は忘れてしまったのですか!?」

「誰がテメェみてぇなのを愛すか、テメェを愛する位なら道端に落ちてるスーパーの袋を愛す方がマシだわ」

「僕の扱いゴミ以下ですか!?」






































ツンとデレの紙一重。

「偽りの愛情でならお前を愛せなくないぜ骸、ただし高くつくよ」
「金取る気ですか!? 金が発生するなんてそんなの本物の愛じゃないです!」
「うっせーな。良いじゃん、たとえ偽りでもその愛は本物さ、私の千種に対する想いは決して偽りや幻なんかじゃなく、本物の愛だ!」
「……ザビ子止めてくんない、恥ずい」
「結局千種に対して愛を送ってるじゃないですか、僕に対しての愛情は!?」
「骸さん、もうザビ子の事は諦めてくらはい……端から見ていてなんか悲しくなるほろ脈無し過ぎれ」














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あきゅろす。
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