「やあザビ子、今日は何の日だか知ってる?」
「うわビックリした。なんだ雲雀恭弥か、急に出てきて開口一番にソレかい。
今日は────────コドモノヒ、でしょ」
「なんでそんな片言なの、普通に言えよこどもの日って」
「あーはいはいそりゃすいやせんっした〜。
で、用件はそれだけ? なら私はこれから花屋とケーキ屋に行かなきゃなんないから、先を急がせて貰うよ」
「用件はそれだけじゃないよ。ザビ子、今日は何の日だと思う?」
「…………んだよしつけぇなコイツ。今日は、だか……ら…………ぁ、そっか今日は、おまえの」
「ようやく理解したみたいだね? 今日、僕の誕生日なんだよ」
「うんそうかい、オメデトーゥ」
「全く心の籠っていない祝いの言葉を有り難う、君もうちょっとオトナになれよ」
「大丈夫、私ピーターパン・シンドロームだから」
「なにがどう大丈夫? 全く大丈夫じゃないよソレ。
買い物行くついでにその足で病院行けよ、僕いい医者知ってるから」
「そう、ならこれでサヨナラ。また明日学校で遭いまショー」
「待て。二つの意味で待て。物理的に止まれ、漢字変換に誤りがあるぞソレ、遭うは悪い意味で使われてるだろ」
「分かってんじゃないか雲雀、ザビ子さんは先を急ぐの、さっさと退きなよ」
「ねえザビ子、祝辞だけしかくれないの?」
「キョットンてしないでよ雲雀、こっちがキョトンだわ。
大体、貴方もう大きいんだから誕生日にプレゼントねだるなよ、いくつになったの雲雀」
「僕はいつだって、僕の好きな学年だよ」
「名言頂きましたー、はいじゃあ解散────」
「────させないよ」
「させろよ、もう私既に帰りたいよ、買い物行く前に既に帰りたくなって来たわ、もうゆっくり眠りたいわ!!」
「僕が君ん家押し掛けても良いなら帰らせてあげるよ」
「死んでも嫌だソレ、意地でも帰らない。つーかもう貴方の相手すんのめんどくさくなったよ。
もうプレゼントでもディザイアンでもプロミネンスでも買い与えてやるから帰ってくれない?
もうケーキ買ってあげるから、頼むから私を貴方という呪縛から解放してくれない?」
「じゃあその一番高いケーキにチョコプレートとその熊と犬の人形つけて」
「バカヤロー、その200円のケーキにしろ。間違ってもその樋口一葉が一人なくなるケーキは却下な!」
「チョコプレートに“恭弥くん誕生日おめでとう”って入れて」
「こいつ本気でいくつなんだよ、園児か!?」
そっと添えられたバースディカードに書いてある『lch liebe dich』という文字について言及したいのだが。
「……ねえ。コレなんて書いてあるの、ザビ子。というかコレ、何語?」
「……自分で調べて来なさい、なんでも人に頼ってはいけませんよ恭弥クン」
「なんでそんな保育士みたいな生暖かい眼差しで僕を見るのさザビ子」
5/5 雲雀さんハピバ
(ドイツ語で『愛しています』)