星屑の煌めき




(Fate/士郎)それは所謂七つの大罪




「ハァ……」

「────士郎。溜め息なんか吐いちゃって珍しい、どうしたの」

「ああ、ザビ子か……いや、ちょっと悩みがあってな」

「あらら珍しい、元気と料理だけが取り柄の士郎が悩み事とな」

「おーいザビ子、お前ソレ俺に喧嘩売ってんのか?」

「いや特に。じゃあそこにツンデレをプラスしよう」

「マイナスされてるぞソレ、というか誰がツンデレなんだ」

「しょうがない。ツンデレキュートなネコロリボイスも追加してやる! こーの卑しんぼさんめっ☆」

「なに言ってんのかなに一つさっぱり理解出来ないんだが、取り敢えず喧嘩売ってるって事だけは理解したぞ」

「売ってませんよ。冗談キツイなぁお兄ちゃんったら」

「無理してイリヤっぽい声出してお兄ちゃん呼ぶな、お前の兄貴になった覚えは無いぞ、俺。
ってか……もうツッコませんな、疲れた」

「あ、わり。私的に君を励まそうとしたんだけど、完全に空回ったわ」

「その気持ちは有り難いんだが空回り過ぎだ、余計に疲れたし頭と胃が痛い」

「ごめん。じゃあ詫びとして士郎のお悩み相談に乗ったげるよ。
今のザビ子さんは機嫌が良いからなんでも聞き流しちゃうよ」

「いや駄目だろ聞き流しちゃ、聞いて受け止めてそっから返せよ。
ってツッコんじまった、お前のボケにツッコんじまった、こいつの思う壺だ」

「ほら、お茶でも飲んで落ち着きなさいな。本日の紅茶はロイヤルミルクチーです」

「あ、さんきゅ…………ん、美味い」

「さて。落ち着いた所で本題に入ろうか。なにに悩んでいたのかな士郎」

「…………その、なんというか……」

「私には、話せないかな」

「そんな事ないぞ、寧ろザビ子にこそ聞いて欲しいというか……!」

「私に……珍しいなそれも」

「えぇと、なんていうかさ。…………好きな奴が出来たんだよ……」

「マジ? おめでとう、これで少しは士郎も人間味が増すかな」

「……それは馬鹿にしてんのか」

「まさか。士郎もやっと誰かを好きになれるくらいの人間らしさが出てきたのかなぁって思っただけさ。
そっかぁ、士郎にもついに春が来たのかぁ……で、相手はどんな人なの?」

「……そいつも、俺とおんなじで自分より他人が大事って奴で。
でも、俺なんかとは違う、本物の想いがあって……最初はそいつが羨ましかった」

「ふんふん」

「他人の事に一生懸命になって、自分の事を蔑ろにする俺とは違って。
確固たる自身があって、自分も勘定にいれて他人を救おうとする凄い奴でさ」

「ふ〜ん」

「でも。そいつ他人は救えても自分は救えないって奴で、正直俺より不器用な奴で」

「ほうほう」

「そいつ、俺がこうして悩んでるのさえ気付きもしないし……いや、悩んでるのは気付いてくれたか」

「へーぇ、馬鹿だなそいつー。士郎にこんだけ想われてるのに気付きもしないのか」

「……っていうか、お前だよ────!!」

「あら、マジ?」

「マジだよ、大マジ……冗談でこんな趣味の悪い事言わねぇぞ、俺……」

「趣味悪いゆーな、お前それ私に失礼だぞ」

「今までのお返し、かな。というかあんま驚かないな」

「いやだって、知ってたし。っていうか話しの途中でなんとなく察した」

「知ってたなら言わすな、スッゲー恥ずかしいんだからな!」

「いや、これで間違ってたら私笑い者じゃないか。それこそ恥ずかしい」

「お前の恥ずかしさと俺のそれは度合いが違うぞ」

「まあまあ、ドンマイ士郎。────因みに、それは返事した方が良い?」

「いや、いい…………知ってるから」

「…………ごめん。私、士郎の気持ちは嬉しい、けど……君の気持ちに応える事が出来ない……。
ごめんね士郎……ごめん……」

「…………ん。謝らなくていいよ、ザビ子を困らせたい訳じゃないんだ、俺……。
俺も知ってるから大丈夫だよ、ありがとなザビ子」

「────────ごめんなさい……っ」


















































それは自分への“嫉妬”。
言わなくたって解ってる、お前が好きなのは俺じゃないって知っている。
お前が好きなのは、俺じゃなくてオレだから。
でも、それは俺でもあって。それは未来の俺で。
でも、それは俺じゃない。それは俺の一つの可能性。
自分自身に嫉妬だなんて、笑えない。
















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