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キリリク
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夏休み、藤堂家に大荷物が届いた。


店から直接届いた高そうな荷物。宛名が自分だったのでそのうち一つを荷解いて中身を改めてみる。



「……なぁ、これ何?」



「お雛様♪」




実家に届いた茶箱の前で腕組みした悠紀仁。

その横で嬉しそうな悠臣。





「悠臣。雛祭りって女のもんだって知ってるか?」

「ねぇ〜。ゆきちゃんこれ見て?」



細工細かくてすごいねぇ〜、なんて言うその後ろ

悠紀仁が無表情で怒ってる。


「……ッ子供の健康願うなら兜買え!!俺は男だ!!大体何だよこの金の無駄遣い!!」


届いた荷物を部屋に運ぶ使用人達がびびる。



「違うよこのお雛様にはゆきちゃんの結婚に関して願掛けるんだからぁ!!」

「じゃあオラ言ってみろ何を掛けたぁ!!」




「……またやってらっしゃる……」

「若も、お気持ちは解りますが……あの息子さんじゃあ確かに……ですけど……」


誰よりも綺麗な顔した美少女……にしか見えない、頭首の孫息子を見て一同ため息。



「女の子扱いして怒られてる……また……」


もはや日常の一部と化しているこの光景。



「雛祭りになったらこれ飾って4月まで出しっぱなしにしてゆきちゃんがお嫁に行かないように頼むのぉ!!」

「……は?」

「あれ、ゆきちゃん知らないの?お雛様仕舞い忘れると結婚が遅れる、って言われてるんだよ?」




「ば……」

「ば?」



「馬鹿ヤロ俺は男だぁッ!!」






ばちこーん、と叩かれた悠臣。広い玄関ホールに悠紀仁の澄んだ怒鳴り声(笑)が響き渡る。



「テメェは俺が生まれたとき下半身に目が行かなかったのか?あぁん?」

「や……やだ、ゆきちゃん下品……」



叩かれたことより悠紀仁の口から飛び出た言動に本気で泣きそうな悠臣。


馬鹿だ。

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