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キリリク
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「……じゃあ、【レオ】。」


しばらく視線を動かして考えていたらしく、何かを定めた瞳が俺を覗き込んで嬉しそうに呼んだ。


『俺の名前?付けてくれたの?』

「うん。ラテン語で【ライオン】て意味。
お前ライオンぽいもん。」

『猫じゃねぇの?』

「猫だけどね。
お前強いじゃん?レオって似合ってると思うんだけど。」


『ふーん。そ。気に入ったかも。』




アンタがくれるんなら何でもいいや。



「俺の事は何て呼ぶ?」

『じゃあ、ユウって呼ぶ。……呼んでいい?』

「何だよ今更。当たり前じゃん。」



……当たり前、か。


そうやって、何気ない一言をくれるのが嬉しい。



『……ユウ……』

「なに。」

『俺の事、捨てたりすんなよ。』

「お前が嫌っつーまで飼っててやるよ。」




綺麗に微笑んで撫でられた頬。


その指先を掴んで口付けた。






  なら……一生だ。





『……嫌になんてなんねぇから……ずっとユウの猫でいさせてくれよ。』

「あはは。
とんだ甘えただな。やっぱ思った通り、お前猫だな。」

『……甘えただよ。甘えさして。』



撫でられた頬に、抱きしめる腕に若干力を込めて擦り寄った。



俺が包んでる華奢な身体


贅沢なこの状況に、ゆっくりと目を細めて意識を触覚に移した。




「……もう寝な。怪我治んねぇぞ?」

『分かった……寝る……』








『寝てる間……帰ったりしないでくれよ……?』

「お前が目ぇ覚ますまで、ずっといてやるから。心配すんな。」



譫言のような呟きに帰って来た言葉にホッとした。




あぁ……居てくれ。





「……お休み、レオ。」






頭痛いし、恐らく風邪引いて傷口熱持ってるし、腹痛いし……


でも、関係ないくらい幸福だった。




腕の中にあんたが……ユウがいるだけで。

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