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キリリク




「いろいろ……武勇伝は聞いてるけどさ、今日はんな事話しに来たんじゃねぇんだわ。」



華奢な身体から、ピリッとした殺気が放たれる。
こちらが値踏みするように無言でいると、更に言葉が続けられた。


「そいつらさぁ……頼まれて、計画的に囲んだらしいんだよね。上の奴の命令で。」

「それに……今、病院にいるうちのメンバー……の彼女。結構前からしつこく言い寄ってくる男がいたって。」





「頼んだ『上の奴』と、しつこく言い寄ってた『男』。

……シュン、って言うらしいんだよね。」




……俺は知らねぇ。


んなケチ臭ぇ事やるか。
大体女なんざ口説かなくても向こうから寄って来て取っ替え引っ替えだっつぅの。
この上自分から口説きに回るなんて暇ねーよ。



「……でも、お前じゃ無いみたいだし。」

『は??』


握った拳が肩透かし喰らった。



「心当たり無ぇ?
そーゆー事しそうで、金で人動かす様な人間。」




……興味が沸いた。



『何で俺じゃねぇ、って?』

「褒める訳じゃねぇーけどよ……お前はんな事する様な馬鹿じゃ無い。」

『……何で?』



「目。」




吸い込まれそうな、淡い色

見つめられて、沸き上がるコレは何だ?


欲情、っつぅの?



『へぇ……まぁいいや。いるにはいるぜ?心当たり。』

「誰だ?」

『今居るから。探してみろよ。……当てられたら、制裁は任せたるわ。
そっちに引き渡してやるよ。何しようが……俺は何も言わねぇ。』

「……何でだ?」

『言ったろ。んな事する奴俺の下にいらねぇーんだよ。』



俺の言葉を聞いて、踵を返してある人物の所に行き……


蹴りが一閃し、俺のバイクに触りながら物見高くこちらを伺ってたそいつは後ろに詰んである木箱まで飛んだ。

ガラガラ、と崩れる音に、埃が舞い上がり……少々遅れて呻き声が聞こえて来た。



『……何で分かった?』

「コイツがずば抜けてチキン。卑怯。
ホームに敵が飛び込んできたってぇのに、自分の逃げ道だけ、まず確認してやがって。
まぁあとも似たり寄ったりだけど。」



思わず苦笑してた。

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