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キリリク




またいつもみてぇに倉庫でぐだくだ集まりやってたら、外に十数台の単車が停まる音がした。



入口付近にいた何人かが吹っ飛ばされて、銀髪の細身な……男?が少しキョロキョロしたと思ったらこっちに真っすぐやって来た。


「お前か?シュンって奴。」


少なからずびっくりした。


俺はその日、周りに誰も寄せ付けずに壁際でビール片手にイライラしていた。




最近、「副総長」ってポストにいる奴がかなりうるせぇんだが。
よくチームの奴らに奢ったり女紹介したり。そんなもんでそいつは人気がある。


んで調子こいてる。


俺は別にチームをしっかり運営するつもりはねーが、コイツは自分の裁量で新しい人間を入れたり、知らない顔が「幹部」とやらになっていたり。

今も倉庫の真ん中辺りで、その「副」が勝手に俺のバイクの横で、俺のバイクにベタベタ触りながら「バイクについてのご高説」とやらを自慢げに語っていて物凄くムカついていた。


しかも俺はその日いつもの上着を着ていなかったから。
(ちょっと前の公開「教育的指導」で返り血が飛んで、クリーニングに出したの忘れてた)

まぁそんな理由含めてびっくりした。
俺はあまり人がいる場所には顔を出さないから……その物言いなら恐らく写真も、コイツは見たこと無いんじゃないかと思って。



『……よく分かったなぁ。』

「こん中でお前だけ、ズバ抜けて強い。
あとはイキがってるだけの雑魚だ。」


雑魚と、わざと聞こえるように言ったのか。馬鹿にされたと雑魚どもが声を荒げ出した。

……俺の前に対峙して、怯むどころか目を逸らすことすらしない。



おもしれぇ……

知らず口角がにぃ……、と上がった。




壁から背中を離して、手がすぐ届く所まで近寄ってその瞳を見下ろす。

体格差にも怯むこと無く、目の前の銀髪はまっすぐ睨み返して来た。



『……ご用は…何だい?僕。』


「この前うちんトコのメンバー囲んだ5人いるかな?」



挑戦的に軽く肩を揺らしながら、首を少し傾ける。
銀髪がしゃらしゃら、と小さく音を立てて、ツナギの隙間から鎖骨が覗いた。

その、白い肌を見た瞬間、「何か」が込み上げて来そうになって……思わず目を逸らしてしまう。


……何、焦ってんだ俺は。

『……もう、いねぇよ。』
 

気取られぬように、視線を戻して銀髪を見下ろす。
そのままからかうのも忘れて、ただ真実だけを一言告げた。


「あ??」

『集団リンチなんてな、みっとも無ぇー事やる奴俺の下にいらねぇんだよ。
シバいてその辺に棄てた。』


死んではねぇだろ。



「……っは!!、噂通りの暴君だな。」

『へぇ……噂なんてあるんだ。』



どーせろくでもねぇ奴だろ
自覚ならしてる。

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