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純情boogying
抱かれた肩
 

『……ッは、げほっ、げほっ……』


寝起きに泣いて、唾液がうまく飲み込めず気管に回ったらしかった。


『げッ……く、ぅ……』



昔の、……昔、あの女に煙草を身体に押し付けられてたときの記憶がまだ頭の中を巡っている。


『……はぁ、……は……ッ……
……下、行かなきゃ……』



自分の身体が拒否を起こして気管が鳴っているのか、それとも今激しく咳をした所為で粘膜でも傷付けたのか。



『げほっ……!』


「今の音……

……アキ?どうした?」


『羽夜、さん……』



あの、大輝と言う人が壁を殴った物音に反応したのか、突き当たりの部屋から羽夜さんが顔を覗かせた。

俺の姿を認めると、血相を変えてこちらに走り寄る。


「……誰だ?」

『え?』

「誰に、手ぇ……出された?どんな奴だ?」


スゴイ怒って……でも、大分辛そうな顔をした羽夜さんが、俺の開けたシャツを直したり、首に引っ掛かってるだけだったネクタイとか……いつの間に脱がされたのか、足元に落ちていたベストを掴んで、一緒に俺の事を抱えて元来た部屋に引き返し始めた。


『あの、……は、羽夜さん?』


有無を言う暇も無く、尋ねる余裕すら与えて貰えず、なされるがまま腕の中に閉じ込められていた。


肩を抱く腕が少し、きつかった。

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