純情boogying
借りと返済
「へぇ、で、お前どこの高校行くの?」
『都の奨学生制度を利用して、家の近くの公立高校に行こうと思ってるんです。』
「え……もったい無くねぇ?折角頭いいのに……学校の先生とかも何か言ってなかった?」
『……スゴイ言われました。』
そんな言うならあんたが金出せよ、って思うくらいに。
『でも、しょうがないんですよ。
家から自転車で行ける範囲の公立高校ではそこが一番まともなんです。
……それに、そこの制服学ランなんで、今着てる中学のそのまま使えるし。』
あとはちょっと悪い評判しか聞かない所しかなくて。
……ああ、そう言や今週3者面談あったんだっけ……
また高校のレベルについてとやかく言われるの嫌だなぁ……って言うか和子さんいない……のに、どうしよう。
……まぁ、担任は知ってるし……大丈夫だ……よ、な?
他に保護者いないんじゃしょうがないし。
「まぁ、お前の進路の事もジン交えて話そうな。
俺もあいつも出来ることなら何でもしてやるし。」
………………!!
『だ、だめですよ……!
俺、借金の事でただでさえ迷惑かけてるのに……これ以上、なんて……』
「気にすんなよ。
さっきはジンの気が済まないからあぁ言っただけだけど、客が潰れてそのツケなんて回収諦めるもんだし。
お前の事気に入ったし、大学でもどこでも行かせてやっから。」
『で、でも……
俺、二人にこんな親切にしてもらって、俺なんか……何も出来ないのに……、申し訳無くて……』
あそこから助けて貰って、新しい場所もくれて、……俺に、こんな良くしてくれるのに、俺はこの人達に何も返せない。
「いーって。
あんなぁ、俺がしてぇっつってんだからそれでいいんだよ。
俺がお前の事面倒見てぇの。
お、れ、が。分かったか?」
『だって……』
「……じゃあ、アキ、さっきお前自分で言ってたけど……俺に借りあるよな?」
『……ハイ。』
あの女の部屋から出て来た領収書やら計算して、恐ろしい額が浮かんで来た借金……原価だけでいい、って。
「んで、残りの借金も帳消し。これでお前、デカイ借り出来たな?」
『え……な、んで……』
「返してぇよな?お前そーゆー性格してるから、世話になりっぱなしとかちょー気にすんだろ。」
こく、と無言で頷いた。
勿論だ。
こんな……こんな、いっぱい親切にしてもらって、かなり申し訳ない。
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