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純情boogying

 



『そうだ。
……何か他に頼みてぇ事あるか?ジンが面倒見るって言ってるから、多少金のかかることでもいーぞ?』


まぁ、これでコイツが調子に乗るようだったら考え直さなきゃだな。


「あの……じゃあ、南さんに……頼みたいんですけど……」


……何だ。

面白い奴だと思ったのに。


折角ジンに拾って貰ったのに、俺に取り入る気かよ。

内容によっちゃあ今すぐ追い出してジンに言う良い話を考えないと。



「……俺の事、名前で呼ばないでください。」


…………


『…………は?』



「俺の名前、……その、あの馬鹿女が騙されたホストの源氏名、なんです。
……嫌いで。

出来るなら、名字でお願いします。」



…………


やっぱ面白い奴だ。
一人くらい傍に置いとくと退屈しねぇなコリャ。


『あぁ、それでジンがお前の事アキって呼んでたんだ。
じゃあ、それでいいか?別に呼び名があれば不便じゃないからフルネームいらないし。』

「あ、それでお願いします。」



鞄を下ろして、最近ベッド代わりにしか使ってない応接セットに腰掛ける楓。

あ、アキか。


……拭いたとは言え昨日そこに飛び散った(飛び散らせた)もん知ったら嫌そうな顔すんだろうなぁ……

クク。



…………ん?



『お前……それ、どうしたんだ?』


「え?」


『右の頬のとこ。
……血ぃ出てるぞ?』



角度が変わって、ざんぎりに切ってある前髪の隙間から赤い筋が見えた。



「あぁ……あの、家出てくる前に母親に殴られて。
多分その時に眼鏡の金具で切ったんだと思います。」



…………ι



『……ちょっと待ってな。
今消毒してやるから。』



中々その歳でバイオレンスな人生だな、アキ。

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