純情boogying
2
『あと、家に取りに行かなきゃいけねぇようなもんあるか?』
まぁ……見た感じ、借金に気付いて家出るところだったろうから荷造りは出来てるけど。
「あ……」
『どうした?』
何かに気付いたように小さく声を漏らして、いきなり慌て出した。
『……俺、和子さんの遺骨と位牌……家に置いて来ちゃった……ッ!
ど、うしょ……』
「あぁ……なんだ、そんくらい。
店が終わったら、少し遅くなるけどジンに連れてって貰え。取ってくりゃいいだろ。」
途端、ホッとしたような表情をする楓。(いや、髪の毛と眼鏡で顔の下半分しか見えないけど)
……一々反応が面白い。小動物ぽくて。
『まぁ、とりあえず荷物置きな。
そこ掛けろ。何か飲むか?』
あんまりに挙動不振な態度に、思わず笑ってしまった。
「あ、あの……お気遣い無く……」
遠慮がちに申し出た年齢不相応な楓に、今度は吹き出しちまう。
……つくづく面白いな、こいつ。
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