純情boogying 初物づくし 「……じゃあさ、楓君が言いたかった事は分かったから、こうしてみようか二人とも。」 腕を緩めてくれたは良いが一向に離してくれる気配は無いジンに諦めを感じたとき、暫く考え込んでたらしい南さんが喋り出した。 『「?」』 「まず、楓君はとりあえずこの店の従業員用の寮……っつーかここの中にある部屋なんだけど、そこで、住み込みで働きなさい。 ……学校から帰って来て、寝るまでの間、バイトみたいな感じで。 使ってない部屋だから家賃はタダ、食費光熱費は賄い、って事で。」 「でもっ……俺」 「ほいちょっと黙ってろジン。 んで、君が働いた給料から少しずつここの借金返して、……で、君……未成年どころかまだ15行ってないだろ? 保護者、と、身元保証人代わりに、ジン。 ……楓君の力になりたい、って言ってるから……ジンの顔に免じて、って事でここでの借金は利子無しで仕入れた酒の原価だけ返してくれればいいから。 って言う形でどーよ?」 『……ありがとうございます……』 こんなに好条件にしてもらえると思って無かった…… 『……ジン、ありがとう……』 「えっ?!……だって、俺結局何も出来な……」 『違うよ。』 『俺の事あそこから連れ出してくれて、俺がこの後ちゃんとした生活送れるようにする為ジンは自分が出来る事全てやろうとしてくれた……スゴイ嬉しい。 ……ありがとう。』 「え、あ、……うん。」 『南さんも……ありがとうございます。俺、人にこんな優しくして貰った経験今日まで無いんで、スゴイ嬉しいです。』 だって、……俺に正確な額は解んないけど、きっとあの女がここで作った借金は相当だろう。 それを、いきなり、初対面の俺に…… ああ、ほんと、今日は色々初めてづくしだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |