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純情boogying

 


「にぃちゃんいい根性してるなぁ。……うちの会社来るんだったらいい条件揃えてやるぜ?」

『あぁ、わかった。
ホストで食っていけなくなったら考えとくよ。』


食えねぇなぁ、と小さく笑って電話の向こうの男は刺々しさを外した。


「じゃあ、若に家帰るよう言ってくれよ?」

『いや、もう電話したぜ。さっき。』

「へぇ。で、いつ帰るって?」



『……親父が家にいないとき、だとさ。
じゃあな、俺、確かに伝えたぜ?』

返事を聞かずに通話の終了ボタンを押し込んだ。
多少無礼な男だと思われていた方が都合が良い。
……なんとなく、長い付き合いになりそうだと勘が告げていた。



ぴろりろりろり


神経を擦り減らす電話が終わってふぅ、と一息つく間もなく
滅多に鳴らないわが家のインターフォンが、待ち人が到着したことを告げていた。

[おーい、ジンー、来たぞー]


待ち侘びていた知人の来訪に、何も考えず声だけ確認してインターフォンを見ずに解鍵ボタンを押して招き入れていた。


昨日は一晩中ヤリまくって足腰はガクガク、無断欠勤のリカバリーで殆ど寝てないのにほぼ脊髄反射に近い機敏な動きで、自分でもビックリした。
あぁ、俺、本能レベルであの子の事大切にしてるんだ。


そう気付いて、楓がすっげぇ愛おしくて
顔がニヤけた。


35階まで来るのにまだ少し時間がかかるだろう。
……来る前に電話終わったし、ローターとローションしまって、昨日確か脱いだまんま床に置きっぱなしにしてるスウェットとか片付けておこう。

ヤッた痕跡残すのはマズイ。

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