純情boogying
3
恐らくいつものようにVIPルームに案内して、そこで接客するのだろう。
この店にはホールにもそうだが、VIPルームにも犯罪の防止に監視カメラが取り付けてある。
ホールの方は完全に防犯目的だが、VIPルームの方は主にホスト達が強制猥褻罪や強姦の加害者にさせられないように設置している。
これは俺の現役の時に起きた事件から得た苦い経験で設置を決めたものである。
つまり、俺は現役時代強制猥褻罪で訴えられそうになったんだよ。その時の客の一人から。
もちろん冤罪だ。俺は女に興味が無い。
しかしその客は俺の本命になりたがり、俺は拒否した。
女にちんこ勃たないってのもあるけど、俺は客に枕営業をしたことは一度もなかった。
いくらアプローチしても全然靡かない俺に、ならば既成事実を作ろう、全裸でいやらしく迫って押し倒せば我慢も出来ないだろうと自慢のボディ(笑)で同伴後部屋まで送った時抱き着かれたんだよ。
コーヒーいれるから、って台所に行って帰ってきたら全裸でびびった。
まぁ、確かに売れっ子のAV女優なだけあって顔も身体も世間一般の男性から見たら申し分ないレベルだと思うぜ?
だがしかし俺はゲイだった。
その時は竟と出会ってすらいなかったから、もしそいつが男だったら据え膳いただきますで正座で一礼してから押し倒すぐらいはしても良かったんだけどな。
諦めてくれよ、俺に抱かれたかったらちんこ生やして出直して来な。
で、客を張り倒して部屋を出るわけにもいかず、泣き出したその女を宥めすかしてぐったりした頃
「もういい」
と言われて解放されたんだよ。
何がだよ、マジこっちの台詞だよ。こっちが「もういい」っつってキレて部屋出たかったわ。
そんで、次の日、ニコニコしながら店に来たそいつがVIPルームに入って俺を指名。
部屋に行くと「二人きりになりたい」と女がヘルプ達を追い出した所だった。
「大事にしたかったから俺みたいな男が君に手を出すわけには」云々のいつも使ってるお決まりの言葉を並べ立ててしばらく、
突然そいつが俺の手を掴んでドレスの中に入れ、そのまま押し下げて大きく胸元を裂いてニタリと笑う。
何が起こったかわからず目を見開いた俺の前で、最後の仕上げとばかりに金切り声を上げた。
何事かとVIPルームに集まるホスト達、人が程よく集まったところでその女が言った。
「襲われそうになった」
と。
俺は初めてそこでこの女の本来の目的に気付いた。
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