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純情boogying

 




…………。


いや、分かってるぜ?悪いのはこっちじゃない。
確かに昨日ジンは無断欠勤して、来る予定だった太客にも一言のメールすらしていない。
しかし、昨日のジンは酷い風邪ひいて体調不良で寝込んでる事になってた筈だ。もしホントにインフルエンザかなんかにかかってて、メールする余裕も無いほど具合が悪かったら?

出勤してないからってキレて鞄振り回して店員の顔面にぶちあてて、それでも店長とナンバーが3人で対応したのに謝罪も無しに帰っていいって理由にはならない。

こっちに非があるならともかく、接客業は辛いと知ってはいるがやってらんねぇ。
正直、月に150万、ジンの誕生日に500万落とす客じゃなきゃとっくの昔に正論でやり込めてお帰り願ってるわ。


「いいんだよ、登喜子さん。謝らないで。」


次に何か喋ろうとするのを手で軽く制して、ジンが隣の女に解らないようにウインクをしてきた。

……しばらく黙ってろ、って?


「昨日は確かにお酒が入ってた、そうでしょ?
それで足元が覚束なくなって、はずみでここのボーイに鞄が当たってしまった、そこまで聞いてる。
俺から本人に謝罪はするから、登喜子さんは何もしないで。店にも俺がけじめ付けるから、店長、話は終わってからでいいですか。」

ジンに敬語なんて使われて思わず口の端が痙攣した。

いやいや、こいつも客によって演じ分けるタイプだし……しょうがないしょうがない。


『あぁ、それはいいけど――』

「では、朝の部が終わってから事務所に伺いますので。」

ぺこり、と一礼してジンが客をエスコートしていく。


……怪しい。

事務所なんてこの店にはない。それらしきものはパソコンの置いてある店長室だけか。
いやそれより、ホストクラブの人間が「事務所」なんて言ったらちょっと世の中を知ってる人間ならまっ先に暴力団のそれを思い浮かべるだろう。

そしてジンはその言葉を意図的に使った。
恐らくは接客のためだろうが、答えが分かっても途中式は皆目検討がつかない。

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あきゅろす。
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