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純情boogying
一体どうやって軟化させたのか
 



「じゃあ……俺、モーニング始まる前にちょっと外で客と飯食って来る。
そのまま店出るけどちょっと遅れるかも。」


『んー、わかった。』


この時は特に反応せず『あー俺もそろそろ着替えて、飢えたガキ共の朝飯用意しねーと』なんていつもみたく考えてた。

まぁ朝飯っつってもデリバリー頼んでる店から届いた弁当に頼んだやつの名前の付箋貼付けてペットボトルとコップ用意するだけだけど。


そんな毎朝の雑務をこなした後、開店してからしばらく

仕事の終わった嬢や出勤前のOLなんかがほどよくテーブルを埋めた店内にジンが客を連れて戻ってきた。


『っでぇ?』

店内をウロウロして客の回転と大体の売上を観察している時だった。
ジンに、正確にはその横の客に心底驚いて声を上げてしまった。


――まずい、


周りの客の視線がこっちを向く前に、すぐに顔の表情を作り直して咳でごまかした。
まったく、客の前じゃキャラ作ってんのに、うっかり地が出るところだった。



『根岸様、いらっしゃいませ。』


気を取り直して、すぐに二人の前に出て恭しく頭を下げた。
店長としての顔を貼り付けたその下、昨日の晩ジンがいなかったと激昂してボーイの顔をバーキンのバッグで殴って、俺と竟と知博の3人(ジンを除いたホストの中で接客が上手い奴ら)でVIPルームで散々宥めすかしても話をろくに聞いてくれず途中でキレたまんま
「もう来ない!」
と帰ってしまった四鳩ホールディングズ会長婦人、根岸登喜子その人だった。


『昨晩は私共のサービスが至らずに不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。』

もう一度深々と頭を下げた。マニュアル通り、背中を伸ばして手は身体の横、自分のつま先が視界の真ん中に来るまで。


「ごめんなさい、昨日の事はこっちが謝らなきゃだわ。」
『本来であれば……えっ?』


本来であればキャストの出勤はホームページや本人からの告知通りに行われるべきで、根岸様のご来店された日にキャストが体調を崩されていたのは完全に私どもの管理不届きです……以下略。
昨晩俺が必死に考えた【こっちが悪い】って事にした謝罪文、何度も頭の中で反芻していたそれを前置きすら話す前に向こうから謝られてしまった。

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あきゅろす。
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