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純情boogying
今はいないひと
 

和子さんの手紙は、

「これを読むのはいつかしら、楓さん、社会人になって家を出ていく頃かしらね?」
から始まって綴ってあり。


俺の体調と、家の金銭状況を心配する旨が書いてあった。

また、心臓が、締め付けられる。
……本当に、和子さんには最後まで心配のかけどおしだ。


手紙が2枚目に入ったとき、その内容に愕然とした。


「もし、楓さんが今お金に困ってて、この手紙を見付けたなら戸浦銀行の会長さんの戸浦重信さんを訪ねなさいな。
私の古い知り合いで、とてもいい人です。ほんの少しだけど、楓さんの名義で貯めておいた貯金もあります。通帳を貰って、楓さんの為に役立ててちょうだい。」



俺の事を考えてくれていた和子さんの想いに、時間を超えて改めて知った今は白い骨になったしまった人の優しさに、泣いた。

俺が知ってる限り和子さんは自分の娯楽に回す金なんて持ってなかった。

あの糞女に奪い取られる以外は……必要最低限の生活必需品と、食品と、……俺の、学用品と。


和子さんはそんな人だった。



そんな、言い表せないほど大きくて温かいものに包んで貰って、俺は育てられた。


……手紙は、続いている。


「あなたが生まれて来た場所は決して幸せとは言えないけど、それでも、私はあなたの事を育てながらとても幸せな思いをしたわ。
沢山の良い思い出をありがとう。
何処でも、何時でも、あなたの事を想ってますよ。
      息子 楓へ」



読んでるうち、涙が止まらなくなった。

泣きすぎて頭が痛くなっても、声が枯れても、止まる事なく流れ続ける涙の溢れるままにしておいた。

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あきゅろす。
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