純情boogying
生まれて初めて。
急拵えの粗末な仏壇の上に、小さくなった和子さんが居る。
『和子さん、和子さん……
……俺、もう疲れた……』
肩から、荷造りした鞄がずり落ちて、畳の上に鈍い音を立てて着地した。
ほとんど無意識に手を伸ばして、もう答えの返ってこない人を抱きしめて、…………生まれて初めて俺は弱音を吐いた。
軽く、軽くなってしまった和子さんに、とうとう幸せにしてあげられなかった自分を悔いて
『……和子さん、俺、頑張ったよね……?』
でも、無理だったみたいだ。
俺は、最大限頑張ったよ。
色んな事を学んで自分から沢山の本を読んで知識を増やしたのに、……それでも、中学も出てない俺がこの先まともに生きていくのは無理そうだ。
和子さんに約束したのに、ごめん。
……俺、学校行けそうに無いや。
抱きしめた腕の中からした灰の臭いに
埃っぽいその匂いに、軽くなってしまった壷の中の和子さんから聞こえる乾いたかたかたと言う音に鳴咽が堪え切れなくなった。
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