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純情boogying
これから
 


和子さんが教えてくれてた場所。

和子さんはここ数ヶ月はリウマチが酷くて、買い物や銀行へもろくに行けなくなってた。
食事や生活環境、保険を使っても(うちには)まだ高価な薬や自己注射による治療である程度改善されるらしいが、うちの生活じゃとても無理な話だった。


なので、俺が学校に行く前に買ってくる物を聞いて受け取った通帳で必要なだけ降ろして買い物をしていた。(携帯電話なんて持ってないから途中で買ってくるものの変更を頼めないのが難点だが)

だから、必要性もあって、俺は通帳の場所も暗証番号も印鑑の場所も知っている。



『…………え?』


タンスの中の小紋の訪問着と藤色の夏服の間に、無い。


いつも、和子さんも俺もここに入れてたのに、無い。



俺は、和子さんが他の場所にしまった、とか、俺が預かったままここに戻すのを忘れてた、よりもずっと確かな確証を持って狭い階段を落ちそうになりながら駆け登った。



嘘だろ、……おい、ホント、止めてくれ……


心臓が早鐘みたいに耳元でばこばこ鳴り響いてそれに伴う目眩みたいな頭痛に転びそうになりながら感覚の無い足を進めた。

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