[携帯モード] [URL送信]

純情boogying

 



和子さんがいなくなって、初めて一人になったと実感して、和子さんの身の回りの品を片付けなきゃと部屋に入って……主のいない静かな部屋、小さくなってしまった和子さんを白い布が敷かれた机の上に見て急に涙が溢れて来た。






俺には、色んな事を教えてくれた。


中学に上がってからは、銀行の使い方や家事の仕方や生活するために必要な公的な税金に関しての知識も。


何でこんな事をするんだって聞いたら

「私が死んだら楓さんが生きていけないじゃないの。
ちゃんと生活できるように……私が死んだ後、楓さんが苦労しないように教えなきゃいけないでしょう。」

って言われて。


『そんな、嫌だ。和子さん、死ぬなんて言わないで。……ずっと、俺の事世話しててくれなきゃ嫌だ……ッ
違う……世話なんて、しなくてもいいッ!!ずっと傍に居てよ!!』


そしたら和子さんは、「あらあら」って言って、
「楓さん、男の子が泣くものではありませんよ。」
って困ったような顔をして、それでも少し嬉しそうに笑っていたのに。


思えば、あれが、生涯で俺が言ったたった一つの我が儘だったと思う。





大声を上げて泣いても帰ってくる訳無いのに。


きっと、和子さんは俺がずっと泣いてたら気にする。悲しむ。



……解ってるのに、涙も泣き声も止まらなかった。

[*前へ][次へ#]

6/41ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!