純情boogying
2
最初から外見に関してかなりの罵りを受けたが、楓はそれを事実なので仕方が無い、と思っていた。
自分の外見が酷いと自覚はあるし、幼い頃から気持ち悪いと言われ続けていたのでむしろあの程度でここに受け入れて貰えたのが驚いた。
事実、ボーイとして勤めている人からさっき
「ここは容姿で審査があるのを知らないのか?よく入れたな。」
と言った旨の事を言われたのだが、それにも関わらずここで働くことを許してくれた羽夜さんには感謝をしてもし足りないと感じている。
とても優しい人で、俺が傷付くのを自分の事みたいに心配してくれて……いろいろ考えてくれて。
恐らく、俺に素顔を晒さないように、と注進してくれたのも俺の事を考えて、だと思う。
昔から顔の事で虐められて……隠すようになってからはさほど酷いことはされていないが、やはり何処でも醜いものや汚いものは嫌悪の対象になるんだろう。
その結果、俺がどうなるかを心配してくれたんだと思う。
眼鏡を外していたので表情や目を見ることは無かったが、羽夜さんの声は心の底から俺の事を心配してくれている、と言うことを感じさせてくれた。
思い出すと、気恥ずかしいけど、あったかい気持ちになる。
ここ数日ろくに睡眠を摂れていた記憶は無いし、今日は嬉しいことの方が多かったが確かに疲れた。
目が冴えてるとは言え夜が明けるまでには眠れるだろう。
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