純情boogying
今日一日
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夕方寝てしまった所為で当分やって来そうにない睡魔に、少しは寝る努力をしようともう一度目をつぶり直した。
この部屋は窓も時計も無い為、判るのはまだ夜明けまでには大分あるだろう、と言う感覚的なことだけだった。
暗闇の中、人の気配でじんわりと暖まった空気が鼻孔を通り抜ける際、微かに香るジンの煙草の匂いや羽夜さんの香水の残り香が心地良かった。
ふぅ、とまた一息着くと、この寝床の本来の持ち主であろう人の煙草らしい匂いがする。
ジンの吸ってた煙草と似た匂いに、何処か目の奥が熱くなった。
あそこから出してくれた人。
そして、様々な事が起こり、様々な事が変わった今日一日の事を振り返った。
初日から色々な人に迷惑を掛けてしまった事を恥じる。
明日からは、もっと周りの事を考えて行動しなければいけない。
俺の事をここに連れて来てくれたジンの為にも。
少しはまどろんで来た思考に、心の中で和子さんに向かって手を合わせた。
あんな家に置き去りにしてごめんなさい。
でも、仕事が終わって疲れてるときにジンに俺の我が儘を言うことも出来ないので、今日だけ我慢してください。
明日は土曜だし、羽夜さんがして欲しいと俺に頼んでくれた朝の食事の用意も店長室の片付けも2時間もあれば終わりますし、今後俺がやるべき仕事を覚えたらすぐに迎えに行きます。
ここは、いい人達ばかりです。和子さん。
皆さん俺の事温かく迎えてくれました。
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