純情boogying 言動の真意 で、こうなった。 「……何で羽夜ここで寝んねや。いっつも店長室のソファつことるやん。」 『店長様がベッドで寝て何が悪い。』 背広をハンガーにかけ、いつも大輝が寝てるベッドのスプリングを軋ませた。 多少は普通の部屋より広いが14畳に5つもベッド入れると歩く場所なんてほとんど無くなる。 目の端に、多少苦労しながらいつもは売り上げ5位の京史郎が使ってるベッドに向かっているアキが見えた。 既に部屋着(らしいの)に着替えてある。 細い後ろ姿に、改めてコイツの生きてきた今までの幸薄さを感じた。 「……店長言うても、そないに歳変わらんやろ。」 少し気分が落ちたが、コイツに注意をする必要があったのを思い出した。 営業時間中は、少なくとも俺に時間がある間中客が付いていて、未智はひっきりなしにテーブルとテーブルの間を回っていたから。 『ぐちぐち言うなようるせーな……あと、……耳貸せ。』 身体を乗り出して、未智が不機嫌そうな顔でベッドの上で胡座かいてるのに近付いた。 ジンは今いないが、本人に聞こえたらまた申し訳なさそうにするんだろうと思い、顔を突き合わせて最大限絞った音量で声を出す。 『お前……もう金輪際アキには近づくんじゃねーぞ……。 お前に近付かないようにも言うけどよぉ。』 「……嫌、ちゅうたら。」 『嫌、っつーんかいテメェはよ。お前は良くてもアキが嫌なんだってよ。』 「……嫌言われてないし。」 『ハァ??』 「あの後、風呂入ってスーツ新しいの買って、煙草の匂い消してからアキちゃんのとこ謝り行ってん。 ……多分仮眠室おるやろ、て大体アタリ付けて。 嫌や無い、って。 泣かしたんも……ごめんしたら、許してくれたし。」 『……謝れば良いって話じゃねーだろ。』 「……羽夜が文句付けることや無いやろ。」 暫くガン付けて睨み合ったまま、相手の真意を計りかねてじりじりと何秒か過ぎていった。 ……謝りに、行った? アキの辛い記憶が煙草にあることも考えて、スーツまで変える程気を使って? 確かにアキは綺麗な顔してるけど、コイツの執着ぶりは何だ? 未智は遊び相手は疎か、金になる相手にだってこんな事までした事はない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |