純情boogying
聞かれてた
Le tous les jours et lebaptёme duroyaume de non‐nuit.
《不夜の王国の日常と洗礼》
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……聞かれてると思わなかったなぁ……
……あの発言を聞いていたらしい羽夜さんは、少し憔悴した顔で自虐的に自分の事を
「おとーさんはねー」
とか言い出すし。
竟さんはそれを聞くたびにぶりかえして笑い出すし。
「竟ー。
そっちにおとーさんの帳簿なーい?」
…………
「は、羽夜さ……っ、
それもう、やめて……ッ!」
今も、部屋の中……[黒い表紙のB5の帳簿]を探すべくただでさえ散らかった辺りを引っ掻き回しながら竟さんを笑わせている。
喧騒響く階下から、ボーイの一人の叫びに似た大声が聞こえた。
「竟さぁーんッ!!
テーブル2つ……客待ってますけどーっ!!」
「あンのバカ……ッ
言葉遣いは気をつけろっていつも……
……今、返すよッ!!
……て訳で、ワタ、お前フロア戻れ。アキは手伝い頼む。」
従業員の言葉遣いに眉をしかめて大きな声張り上げた羽夜さんが、羽夜さんが片っ端から崩していた書類やファイルの山を片付けている竟さんの背中をドアの方に押した。
「じゃあ……アキ君、後頼むよ。ごめんね……?」
大分酷い惨状を目の端に捉えつつ、それでもやっぱりお客さんを待たせる訳にもいかなくて、後ろ手に閉められた扉の向こうから少し急いだ様な足音が遠ざかっていく。
「なぁー、アキー、
パパの帳簿ー。」
…………
……どうしよう……悪化してる……
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