極楽蝶華
きっと本当の俺は今布団の中。
「部活ぅ?」
『あ、いやその……』
しどろもどろ。
『俺、レギュラーですし……スタメンだし……成果出さないと学費が……』
おろおろ。
「別にいいよ学費くらい、どうとでもしてあげるよ。
鈴峰お茶抽れるの結構上手だし……良く働いてくれそうだし。
だから、決定でいいでしょ?進学にも有利だよ?」
ちょっと待て。
二つ目は明らかに後付けだろ。
……それだけで決まったと言うのか。
ニッコリと、王子スマイルで傍若無人をなさっている悪魔がいる。
女性にしか見えないその艶やかな容貌に一体何人が騙されたんだろう。
(言い訳を考えてて)80℃まで冷めた湯、(ぼーっとしてて)適度に蒸れた茶葉、(誤った結果)温まったカップ、(間違えて)沸騰してない牛乳。
偶然に揃ってしまった条件。
王子のお気に召したらしいですね。
運が良いんだか悪いんだか彰君。
「奈緒先輩、駄目だよ彰生徒会なんかやってたら部活出来なくなっちゃうじゃん。
バスケ命なんだから、奪っちゃ可哀想だよ。」
きゅ……
救世主
キタ━━━━━━━━━━!!
『だ、だよな!!
俺はバスケやってた方が良いよな!!』
「う、ん。まぁ、ね。好きなんだろ?バスケが。」
迫力に気圧されて頷く悠紀仁。
この空間唯一の(精神的な)味方に心から感謝する彰。
よくよく考えれば今現在の彰の窮地は悠紀仁の無自覚が引き起こした事なのだが……
と、
悠紀仁がまた自分に意識を向けてることに気付き背中が冷たくなった。
更に
「それに、彰まで生徒会に入っちゃったらますます夜とか一緒に遊べないじゃん。」
少し拗ねたような表情、で可愛く落ち込む悠紀仁
……と、その発言内容に彰に向け殺人オーラを放つ人×5
ぎゃぁぁぁぁああああ……
今、気絶したい。
全てから逃げたい。
むしろ自分で自分の延髄を手刀で「ビシッ」ってやって気を失いたい。
願わくば目が覚めたらベッドの上、がいい。
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