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極楽蝶華
ロールスロイスって中こんななんだ。
 


薄く開けた窓から流れ込んでくる風が、髪の毛を束にしながらぱさぱさ撫でていく。

首から上の圧迫が消えて、解放感と精神的な疲労で……目蓋が重くなっていった。





『なにやってるんすかアナタ。』

顔のすぐ前にある人の気配に目を覚ました。
ら変態王子が目の前に。

「キスはしてないよ。……したかったけど、約束したから。寝顔を見てたんだよ。」


外は赤く染まっていた。

時計を見ると、もう5時を軽く回っている。


……確かスーパーの前で待ってるとき、時計を見たらまだ4時だった。

そこに見える管理棟からスーパーまでは徒歩で20分くらい。


……あれおかしいなけいさんがあわない。

『……なんでこんなに時間かかったんですか?』

車なら10分もかからないで着くだろ。


「あぁ、もう夕方なんだ。」

どう少なく見積もっても……
『40分以上も……何で起こしてくれなかったんですか。』

「悠紀仁の寝顔を見てたんだよ。」



……何が楽しいのだろう。



あっ……いや、そんな場合じゃない!!
『肉、魚……』

冷蔵庫に入れてねぇ……


「だいぶ前に悠紀仁の部屋に持って行ってもらったよ。もちろん冷蔵庫に入れるよう言っておいたから。」

『あ……ありがとうございます。』

助かった……この季節だ。確実に傷んでいただろう。


……つーかそもそもこの人が……



……止めとこう。不毛だ。


だがしかし最初から最後まで使役動詞なのが気になる。


『それじゃぁ僕は帰りますね。ありがとうございました。』


なんか無駄に長く感じたぞ。

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