極楽蝶華 2 「なーなーなーなー悠紀仁ぉ〜。お昼食べに行こー」 四時間目終了のチャイムと同時に、目を輝かせながら誠がはしゃいでいた。 ――そういやぁ30分くらい前から落ち着きが無かったな。俺もだけど。 『いいよ。行こう。 俺もめさくさ腹減っちまったし。』 「向こうで友達にも紹介するからさ。――な、彰達も行こう――」 誠が教室の真ん中辺りにいた四人組に声をかけた。 たしかこの学校は寮と校舎と食堂が二つあった。 パンフに書いてあった話を要約すると【行き来が面倒だ】という理由で作られたらしい。それなら最初から校舎と寮を隣接させて建てればいいのに……金持ちの考えることはわかんねぇ。 ……校舎内の食堂もレストランだ……。 俺達は六人で食堂の中程の席に座った。 俺は、洋風シェフの……なんたら定食を頼む。 気紛れでも何でもどーでもいいです。 待ってる間に自己紹介。 この四人は俺に対して敵意を抱いてないようだ。不良やってたらその辺の勘は冴える。 『こんにちわどーも。聞いてたとは思うけど、俺は藤堂悠紀仁。好きな様に呼んでな。』 「俺は鈴峰彰(スズミネアキラ)。バスケ部入ってる。」 背の高いスポーツマンみたいだなー、と思ったらその通りな奴が言った。日焼けが健康的だ。 「俺はー、榊潤(サカキジュン)ていーまーす。潤って呼び捨てにしたってえーからなー。これから宿題とかでよろしくー♪」 茶髪に金メッシュの大阪弁。 「僕は相原灰斗(アイハラカイト)。よろしくね。」 天使みたいな子だ。すっげぇ可愛い。 ……いや、純粋にだよ。 「最後が俺、筑波将治(ツクバショウジ)ね。将治でいいよ。俺も悠紀仁って呼んでいい?」 いいですよーもちろんもちろんって言ったら「俺もー」×Bであっと言う間に増殖。この学園来てから、まともに口聞けた奴なんて皆無に等しいから―― こんな普通の学生の会話がひどく懐かしく感じた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |