極楽蝶華 このくらい好き □■□■□■□■□■□■ 『ねぇ、ユウ……ごめんなさいってば。』 「……うっせーんだよばぁーか。」 半ば走るようにヅカヅカと先に行ってしまう。 『しょうがないじゃん。 ユウが可愛すぎたから』 「黙れ馬鹿!!」 むぎ、と口に押し当てられた手。 ……改めて見ると、やっぱちっちゃいんだね。身体のパーツ。 「可愛くなんかねぇよ!!」 さっきからこんな押し問答の繰り返し。 『……可愛いのに。』 「目ぇ腐ってるねお前!!」 ふん、と鼻息荒くまた走り出す。 ……ここでも身体のパーツの差が出て軽く追い付かれてしまうのだが。 『ねぇ、ユウ待ってよ。』 「うっせーよ。……ばか。」 ぴた、と止まる足。 とりあえずご機嫌取りに後ろから抱き着いてみた。 「……何でスグ離れなかったん?」 『……だから言ってるじゃん。ユウが可愛過ぎて他の物なんか目に入んなかったの。』 ぶう、と 【納得がいかない】 という顔をしつつも、俺が甘えて擦り寄ればちゃんと喉を撫でてくれる。 「……きっとレオの脳みそ虫が涌いてるんだよ。」 ユ、ユウ……その例えはちょっと……やだなぁ……; 『涌いてないよ。』 「じゃあ腐ってんだ。」 未だ不機嫌そうに伏せ目がちな瞳。 覗き込んで瞼に口付けた。 『……もうそれでいいよ。』 「腐ってんの?」 『うん。ユウがそう思いたいならそれでいい。』 「…………。」 『でもね、ユウが何と言おうと、自分の顔について何と思ってようと……俺にはユウが可愛く映るの。 世界でいちばん。』 「…………ばかジャネーノ。」 ぽつり、とまた一段と不機嫌そうにしながら 『うん。馬鹿だよ。 だって俺ユウのキス一つでこんな舞い上がっちゃう。そんくらい好き。』 顔紅くして、口を尖らせて、また一回小さく 「……ホント……ばか……」 馬鹿だよ。 だって、ユウしか見えない。 そんくらい好き。 [*前へ][次へ#] [戻る] |