極楽蝶華 あれ誰? □■□■□■□■□■□■ 「……ここ?」 「あぁ……曲がった先……」 潜めた声で忍び足の4人。 「……今回だけ特別だからな。」 「うん。」 聞こえて来た声に、 曲がり角から見えたのは、調度キスシーン。 「…………。」 「…………。」 「…………。」 「…………嘘だろオイ」 4人の目に映ったのは、満面の笑みで幸せそうにキスを繰り返す圭介。 愛おしそうに、大切そうに、薄く開いた瞼の隙間から悠紀仁を見つめてまた口付ける。 【……あれ、誰?】 4人を支配したのは同じ感情、同じ疑問。 顔は見える。 特徴のある、もの凄い男前だ。 あの長身は他にいない。 第一髪の毛。 燃えるような紅。 ……確かに、あれは……あの、【獅子緒圭介】みたいだ。 ……確かに。そう、確かに。 それだけは揺るぎの無い事実……だ。 そして、現状理解が出来たと同時にその視線を悠紀仁の方へと映した。 【エ…エロォッ!!可愛い!!】 4人を支配したのは、同じ感情、同じ欲情。 悠紀仁の斜め後ろからなので、表情の全ては見えないが…… 耳まで紅い顔、上気した表情、涙目、へたった眉、濡れた唇 極め付けは、圭介を見上げる瞳。 俗に言う上目使い、だ。 その攻撃力の高い技は、見つめられてる圭介だけでなく、この4人にもかなりのダメージを与え、その効果の程を見せ付けた。 「……!……だーめ。もう終わり。」 紅く俯いた悠紀仁がそう告げる。 「……あとちょっと。」 「…………。」 「オネガイ……。」 「……ちょっとだけな。」 伏せ目がちに、少し照れ臭そうに呟かれた一言 【いっ……言われてぇぇぇッ!!】 4人を支配するのは(以下略 「……んくぅっ……」 5m先から聞こえて来る声に、下半身に疼きを感じながら細く息を吐く。×4 と 圭介が、気配に気付いて悠紀仁越しに4人を睨んできた。 本気で。 この4人には、今圭介が悠紀仁と一緒にいることの自分達の幸運なぞ知るわけも無く 日頃目に、耳にする圭介の武勇伝を思い出し、恐怖におののき背中に走る旋律に思わず悲鳴を上げてしまった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |