極楽蝶華
理性が、……飛んだ。
悠紀仁様に余計な心配をさせてしまい、揚げ句泣かせてしまった。
その上、今は、自分が腕に抱く細い身体に欲情までして。
人間の物とは思えない薄い腰から、腕に返ってくる手応えは……驚くほど小さい。
この華奢な体躯で……自分が背負っている物の方が大きいのに、人を心配して涙ぐむ悠紀仁様がどうしようもなく愛おしく思えて。
無意識に足を踏み出し、自分ごと壁に押し付けた。
「たか、ゃさ……ッ?!」
理性が止める間もなく、唇を塞いで。
「……ぁ、ッくぅん……」
口付けた瞬間、小さく身じろぎをした。
けれど、背中に回された手が、着ていたシャツごと私を握り込んで来て
一瞬戻りかけた正気に目をつぶり、頭痛と一緒に頭の中で鳴り響く警鐘に耳を塞いで
離そうとした唇をもう一度深く押し付けて、繋がりに粘膜を搦め捕った。
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