極楽蝶華
アンタ何すんですか
って思った瞬間だった。
気付いたらその整った顔が近づいてきたなー、と
んで何か唇に柔らかい物がくっついてるなーっつーかこの人顔近すぎだけど何がしたいんだろ……
……何が……
んんン〜〜〜んン━━━━!!
男に、
男に……
ちっすされてしまった。
俺のファーストキスッ!!!!(泣)
『……てめっなにす…んんっ…!!』
文句を言おうと口を開けた瞬間、舌が入り込んできた。
……俺のファーストキス男とディープ……
歯列をなぞり、上顎、舌根……
口腔内を無遠慮にやたらめったら掻き回されて。
しかも、それが、無駄に気持ち良いから堪ったもんじゃねぇ。何すんだよ。
『んぅっ……ふ、はぁっ……んぅ゛っ』
クチュクチュと濡れた音が、気持ち良くてぼーっとしてた頭ん中に響いた。
深く、浅く……巧みにキスを操られて、だんだん抵抗もおざなりになっていく。
どっちの物か分からなくなった唾液が溢れ、俺の顎を伝ってそこだけ空調に晒されてひんやりと……体温を大気中に手放した。
『……ひっ…や、ぁ…やぁっ……!』
右手が縫い止めていた俺の腕を離れ、首筋を滑る。
変に上ずってしまった響きの拒絶の声に、唇を塞ぐ主が少し反応した。
━━やばぃ、腰に、力入んねぇ……━
壁と相手の身体の間から、自重を支えきれなくなった膝が崩れ落ちた。
―スッ―
ジンジン疼く頭が、微かな刺激を捕える。
何かが頬を掠めて、離れて行った。
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