極楽蝶華
あと一人、は……?
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『……隆也さん、俺、俊と話してみます。』
「……平気なの?」
『ありがとな、灰斗。
……もしかしたら俊もいやがらせであんな嘘ついたんじゃないかもしんなぃし……』
「わざわざ悠紀仁様が機会を与えることはありません。」
『でも……もし、俺嫌われてんなら、……何かしたんなら、謝りたいし……』
言葉に詰まってうなだれる。
まだ水分を含んだ髪の毛がぱさぱさ、と束になって垂れた。
「……悠紀仁甘すぎ……」
灰斗が何か呟いた。
「……どうしても、行かれますか?」
心配そうに顔を覗き込む隆也さんに、なんとなく申し訳ない気持ちになった。
『……あいつ、最後に凄い辛そうな顔してたから……心配で……』
「……あんな人心配なんかしてやんなくていいよ……」
灰斗さん何気酷。
毒舌やんね。アナタ。
『でもね、誤解があるなら解きたいんだ。』
したら、隆也さんが少し困ったような顔をしてしばらく……いつもみたいにっこり笑ってくれた。
「それならば、……気をつけて。」
『?……はーい。』
少々変わった言い回しに怪訝な表情を浮かべる悠紀仁。
「そぞろな返事では無く、本気で気をつけてくださいね。」
「何かされそうになったら股間蹴り上げて逃げるんだよっ?!」
俊、お前散々な言われようだよ。
くす、と笑って……自分がされたことが脳裏に影を落とした。
……お前は、俺の事友達とか思ってなかった?
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