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極楽蝶華
なんで、泣きそう?
 



『な……なぁ、悠紀仁。
大人しく部屋でゲームしようよ。……な?』

「いや、俺【寄生獣】読み掛けなんだよね。
面白いよ。彰も読まない?」


ねぇ、何で俺中心に話進めんの?
何で俺をこの場から逃れさしてくんないの?

と、そんな話をしながら近付いて来る寮。
……悠紀仁が談話室入る前にどうにか話の流れ変えなきゃ……ッ!!


「……あ……」

『ど、どうした?』


いきなり足を止める悠紀仁を訝しんで話し掛けてみる。


「……にゃんこ。」

『へ?』


「にゃんこ!!二匹!!ヤバイ可愛い触りたいふわふわ!!」


だぁっ、といきなり走り出した悠紀仁。
……満面の笑みで。


「……可愛いのは悠紀仁だよ。」

もう、人前であんな笑顔振り撒いて危ないなぁ、とそれでもニヤケ顔が止まらない久遠先輩。

「ヤバ……【にゃんこ】トカ……まぢツボ……」

少し【萌のなんたるか】に足を踏み入れてしまったらしい琉崎副会長。


「……可愛い。」


さっきの射殺す様な視線何処へやら……

取り敢えずこのきっかけを作ってくれた……あそこにいる熊さんの飼い猫に心から感謝しよう。
悠紀仁の可愛い仕種にこの人達の怒りも一気に解れたみたいだし。





……良かっ


……ねぇぇぇぇぇッ!!

何?!
何で獅子緒先輩依然不機嫌な訳?!

ほ、……ホラホラ悠紀仁が今悩殺スマイルで幼い口調で可愛いですよ!!

ひっ……ヤバ、怖……ッ
怖……い…………?

不機嫌、じゃ無い……。

何で、こんな……


この人が…泣きそう……?……辛そう……?



な、顔……してんだ?





目ぇ見開いて……眉が力無く下がって……
悠紀仁を捉えた瞳は、茫然として。


会長達は……未だ猫に構う悠紀仁に近付いて行き……その様子に顔を綻ばせている。


……だよな。



今の悠紀仁……猫構ってて……可愛い、よな?


……何で?



獅子緒先輩、が……何でそれ見て……泣きそうになってる訳?

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あきゅろす。
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