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極楽蝶華
せめて命ばかりは
 




『あああああの、俺、別に用無いしもう帰って良いですか?イイっすよね?』



俺がいる必然性は何処にも無いですよね?
巻き込まれる道理も無いじゃないですか。ね?



「あれ、彰もう帰んの?じゃ俺も一緒」
『いややっぱやめます!!』




悠紀仁の言葉に、殺意×4の集中砲火を受けて背中が冷たくなる思いをした彰。


前言撤回に緩んだその場の空気に胸を撫で下ろす。





『そ……そ〜だ俺喉渇いて……何か貰っていいですか?』


と、そう言いつつ既に足は生徒会室奥へと向かっている。


どうやってもこの場にいたくは無いらしい。



「……いいよ。冷蔵庫に大概は入ってるから。」



別に興味が無い、とでも言うように悠紀仁から視線を動かさずに奈緒が答えた。




「あ、じゃあ俺も。」

『駄目駄目無理無理!!』




本日何回目かの力いっぱいの否定。


「……何でだよ。」



悠紀仁の興味→自分




このいただけない状況下、口を尖らせ少し拗ねたように自分を見る悠紀仁に正直生きた心地がしない。


さっきとは違い未だ刺(し殺)す様な視線を送る生徒会メンバーズ達に弁解する様に吃りながら喋る。



『ホラ……俺、悠紀仁にバスケ負けたじゃん。
パシって来るから……』


「あ、そーいやそうだね。」



けろん、と途端笑顔に戻って上目使いに俺を見てくる。



……満面の笑みを俺に向けるのも勘弁して欲し……ッ!!



『ゆ、悠紀仁何がいい?』


「うーんと……奈緒先輩、オレンジジュースある?」


「あるよ。」


「じゃ、俺それね。」




やっと避難できる、と内心小躍りしながら足を速める彰。



と、その時。





「オイ。」



背中に投げ掛けられ(て突き刺さっ)たふた文字。



え……何でしょうかっつーか俺は何か気に障ることしましたか……?




『な……なんでしょう、か?』


「俺コーラ。」


『は?』




「あ、じゃあ僕ミルクティー。プリンスオブウェールズで注れてね。」


「俺珈琲。ブラック。」


「……俺はアイスコーヒー。」





……こ、この俺様達がぁ!!

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