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極楽蝶華

 


「……ッあぁ……
奈緒、こっちデータ出力終わっ……」
「そう。じゃあ、こっちの部費申請……許可下りた奴全部入力して。」



一休みを提案しそこねた猛がげんなりと肩を落として書類の束を取りに席を立つ。




「……ッああ……チクショウ……悠紀仁が足りない……」



バチン、と強めにエンターキーを叩いた奈緒が口元を隠しながら低く呻いた。



「気が合うな……俺もだっつーのそんなの。」

「……しかも久々だったのに二人っきりになれないし……」





双子も消沈気味だ。




ガチャ

「はーい副会長コピー終わりましたぁー。」



と、最悪のタイミングで悠紀仁との二人っきりをほぼ独占体制の男がコピー室から帰還。



「……何デスカ、皆さん一段と不機嫌そうに……」







「今日春日は自分の仕事全部終わるまで帰っちゃ駄目ね?」



「はあ?!……てか、何ですかいきな」
「お前が溜めた仕事だろーが。」
「普段悠紀仁と一緒に居ること理由にサボりまくってんのが悪いんだろ。」





と、ここでこの男全てのいらつきの矛先を自分に向けられた事に気付く。



「なッ……俺が悠紀仁と同室なのは偶然なんだから当たられても困るんスけど!!」

「当たらなきゃやってられる訳無いだろフザケんな!!
……ックソ、あぁ……もう、悠紀仁ぉ……」



右手の下にあったマウスを横に投げ出して両肘を机に着いて頭を抱えてうなだれる奈緒。


「……お前はまだいいじゃねぇか……さっき悠紀仁の事膝に乗っけて……触って……
俺なんかもう大分悠紀仁の事抱きしめてねぇし……」


独りごち始める俊。


「俺だって……悠紀仁…………キスしたぃ……てか、それ以上もだけど……
……可愛いし……」



愚痴だか惚気だか解らないが取り敢えず不機嫌そうな猛。



「……アンタらだって……畜生、お預け喰らって理性保つのどんだけ辛ぇと思ってんだよ!!
毎日毎日鎮めるのスゲェ大変なんだからなぁッ!!」





不動がコピーした書類を【許可不可能】と書かれた組み立て式のBoxの中にび、と乱暴に突っ込んで自分の席に戻った。


またカタカタカタカタデータ入力をし始める。

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あきゅろす。
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