極楽蝶華 こちら生徒会 □■□■□■□■□■□■ と、こちら生徒会室。 「うわ……終わんねぇ……終わんねぇ……」 「頑張って、俊。あと……机二つ分。」 ちら、と奈緒が見た先には会議室の長机に山と盛られた書類、書類、書類×2 「ちっくしょう何でこんな大量にあんだよ……何を決めるんだ何を。」 ごとん、と俊の手から大きな判子が零れ落ちて一枚板の高価な黒塗りの机の上に転がった。 「まあ……もうすぐ夏休みだしね。 今学期の部費の総決算、算出、夏休み中の部活の活動許可、遠征の許可、寮に残る生徒たちの把握、名簿の作成、その連絡先のリスト、夏休み中の校舎内清掃の業者の調査、依頼、学園内の庭園の手入れ委託業者への連絡、委任、その費用の算出、決算、振込手配、夏休み明けの文化祭の宣伝を請け負う業者の調査、厳選、決定、依頼、文化祭の機材や装飾、当日の人材派遣」 「あぁもうやめろ!!」 奈緒の言葉を聞いていた全員がげんなりしている。 「俊、じゃあとりあえずさっさとやってよ。さくさくっ、と。」 「へいへい。」 「あぁもうちょっとやめてよね!!今書類の内容読まないで判子押したでしょ!! ……ったく。あぁ、よりによって何この申請書類。」 ば、と机の上から引ったくった紙に視線を走らす。 「……あぁ、もう……畜生、どさくさに紛れて私物の注文してる。この顧問。」 ぎり、と噛んだ親指。 それが癖らしく、爪の表面には薄く引っ掻いたような歯型がいくつも残っている。 「春日、これと同じ書類作成して。書式は多分明朝、でB5の余白2cm。」 「……判子の上に修正テープ貼って高出力でコピったのでいいですか。」 「時間が無いし……しょうがない良いよそれで。」 「んじゃ、その帰りに書類突っ返し」 「駄目。」 「……またいつもみたいに逃げられそうだから、ね。 許可できない物は全てひとまとめにして委員会の奴に取りに来させるから。 ……テメェだけ悠紀仁んとこに行かせて堪るか。」 「……チッ……」 図星だったらしく、奈緒が中指と人差し指に挟んで横に突き出した書類を奪うように掴んで奥のコピー室に向かう不動。 奈緒がそれを横目で見遣ってまたパソコンの画面に視線を戻して小さくため息をついた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |