極楽蝶華
あ、バレた。
「ッえ?!」
バッ、と振り向いた悠紀仁と4人の目が合った。
かぁぁぁ、と凄い勢いで赤面する顔。
「……、レオっ!!何でスグやめねぇの!!」
「だって……」
「だってもクソもねぇ!!」
「ぎゃあ!!」×4
ごす、と手加減のての字も無い鳩尾へのボディーブロー。
彼等が悲鳴を上げたのは、別に悠紀仁から殴られたのが原因ではない。
流れ通り、殴られたのは圭介だ。
彼等は、これから起こる惨事を瞬時に想像して……自分達が少なくとも好意を抱いている【ユウちゃん】の事と、殴られて不機嫌になった圭介のいる場所に居合わせてしまった自分達を呪ったのだ。
「痛……」
「あぁもう、放せよばかぁっ!!」
身をよじる悠紀仁、背中を丸め腹部を摩りながらそれでも腕を緩めぬ圭介。
「やだ……」
「やだじゃねぇの!!
はーなーせッ!!」
びし、びし、びし、とチョップが入る。
「なんで……ユウ、俺の事嫌い?」
「嫌いとか……そんなんじゃねぇよ!!何でスグ放れねぇのッ!!」
ぐぃ、と無理矢理腕から抜き出た悠紀仁が紅い顔を隠すかのように手で口元を覆って上目使いに様子を伺った。
「……ッ、!!」×5
はいクリーンヒット
「……俺、俺っ、キスしてる最中のユウが可愛すぎて周りの事なんか目に入ってなかったもん!!」
「かッ……可愛くなんかねぇよ馬鹿ァッ!!」
綺麗に入った上段回し蹴り。
身長差から、決まったのは圭介の肩だがかなり痛そうだ。
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