極楽蝶華 2 「しょうがない」 とのたまったこのお人は、電話を取り出して二言三言話すと、意味ありげな笑みを向けて来た。 ちなみに、会計の際、俺が財布出してお札の枚数カウントしてる最中に 「一回払いで」 とかカード出しやがって。この人。 止める前に、レジスター脇の細い溝をカードが滑って。 ・・・・ピッ!という軽快な了承の音の後に持主の手に返されてしまった。 『ななな、何してるんですかアナタ!!』 「男が会計持つのは当たり前だよ?」 『いや、俺も男ですから……じゃなくて!!』 「一緒にいる人が大切な人なら、尚更。好意は素直に受け取ってよ。自炊、って事はあんまりお金使いたくないんでしょう? 僕はここの会計くらい何でも無いし。」 何でも無いもんか8477円。 『そう言う事を言ってるんじゃありません。』 「僕がいいって言ってるんだからいいの。折角僕と一緒にいるんだし、甘えときなって。 最初から会計持つ気で僕のものも買わせたんだし。」 『俺は……俺は、金払って欲しくて奈緒先輩と一緒に来たんじゃありません。 俺は、友達とは対等でいなければいけないと思っています。奈緒先輩がどんな金持ちでも、たかる様な真似したくありません。』 数え終わったお金を、そこまで細かいのが無かったため会計に近い8000円無理やり手の中に押し込んで握らせた。 『牛乳の分290円は抜きましたからね。 あと、端数の187円は3回尻触ったセクハラへの迷惑料だと思ってください。』 び、っと指をさしてそれだけ言い切った。 あれ、尻触られたの4回だっけ。 そしたら、奈緒先輩はとてもびっくりした顔をして。 「……まいったなぁ。本気になりそうだ。」 とのたまい、綺麗に笑った。 ……何に本気になるの? [*前へ][次へ#] [戻る] |