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極楽蝶華
俺、嘘付くのヘタだ……
 
 


俺の後ろから伸びた手が後ろ向いて小さく「ごめんな」って呟いた潤の腕を掴んで振り返らせた。



それから俺の方を向いて、訝しげな眼をした不動が尋ねてくる。



「【友達やめる】って、何。……何があったんだよ。」


「……ふーちゃん貰ってへんの?メール。」


黙ったまま首を横に振る不動。


「何で……?何で春日は友達のままなの?
俺らは何で悠紀仁と一緒にいられねぇの?」



誠の指がもっかい腕に喰い込んでくる。


握られてるのは腕なのに、心臓鷲掴みされたみたいに苦しかった。



『……同室、だから。避けらんないじゃん。』



目が真っ直ぐ見られないで俺の視線が空中をさ迷った。


「何で?何で俺は駄目なの?何で不動はいい訳?!」

「誠。」



大きい声に、周りもちらほらとこちらに視線を送っている。


物見高く見物している様だ。



「……ゆきやん。俺にも教えてや。
何でふーちゃんはえぇの?俺らじゃゆきやんの力になれへんの?」


『……そ、うじゃ……ない、よ……』





嘘つくのって大変なんだな。



心臓がうるさくて、頭が痛くて今にも泣きそうになるよ。



「じゃあ何で……ッ?!ゆきやん、ちゃんとした理由教えてや。
俺納得出来ひんねん。あんなに気にしてへんかったんに、いきなり……やろ。
ふーちゃんだけ言ってへんのにも、そのへん理由があんのとちゃうん……?」




「俺が生徒会だからだろ?」



返事を考えて、どうやったらごまかせるか思案していた俺はいきなり現実に引き戻された。




「……どういう事?」



「こいつは自分への嫌がらせがお前らに飛ばない様に言ったんだろーよ。多分。」


『ち、が……ッ!!』



「何が違うんだよ。お前嘘つくの下手スギ。バレバレ。」



「そうなん?……ゆきやん。」



『ちが、……ってば。違う……』


駄目だよ。んなこと言ったら、こいつら余計に気にしちまうじゃねぇか。



「教科書隠されたり、上履き捨てられたり、さっきの剃刀入りの封筒も……そんな事気にしてねぇけど、生徒会の親衛隊から受けてる嫌がらせがこいつらにも行かねぇか心配してんだろ?」


違うよ、って言えない。

なんか声出したら泣きそうで。







俺ホント嘘つくの下手だわ

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あきゅろす。
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