極楽蝶華
2
向かいに座って二人とも乱れた息を整え、水を煽る。
よく見ると二人ともうっすら汗ばんでいた。
『そんなに急いでなんかあったんですか?』
「邪魔しに来たんだよ。」
何を?
「二人っきりになれないって分かったんなら、なるべく迅速に抜け駆け犯に悔しい思いさせなきゃだからね。」
しばらく疑問詞を浮かべて考えを巡らしていたが、考えても解りそうに無いので顔を下ろして残りの料理に向き合った。
「そうだ……悠紀仁。昨日は春日君に変な事されてない?」
『不動に?されてませんよモチロン。』
変な事は頼んだけど。言えないけど。
嘘はついてないから平常心で話せる。
「……嘘は、ついてないみたいだね……命拾いしたね、春日君。」
ブラックスマイル☆
『しょ、食事時にそんな黒いモン出さないでください……』
しまってしまって;
笑ってない眼の放つ毒気にあてられて今飲み込んだモン味分かんなかったし。
『俊も、猛さんもなんも頼まないの?』
「俺達はもう食っちゃったから。上で。」
『えー……何のために食堂来たの。ホントに。』
「だから、邪魔しに来たの。」
口の端吊り上げて笑った後、俊と顔合わせて企んだ様に耳打ちして二人でニヤニヤしていた。
なんかわだかまりが解けらしく、少し前から雰囲気が変わった。二人とも。
仲良くなったのはいいけど、怖いて。
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