[携帯モード] [URL送信]

極楽蝶華
頼むから、
□■□■□■□■□■□■




―ゴンゴン―


『……開いてる。』




キイ、と扉が遠慮がちに開いた音が聞こえた。




雑誌から顔を上げると、目を真っ赤にした悠紀仁が震えながら立っていて。



『?!!……どうした?』



ベッドに座る俺の隣に腰掛けると、腕を回してぎゅうっ……としがみついて来る。

鼻にかかった声が、俺の芯に響いた。



「なぁ……俺、今日こっちで寝ていい?」




『……どうしたんだ?』




顔を埋める悠紀仁を抱きしめると、こちらに伝わるくらい震えてるのが分かる。



「な……んかさ、俺今日人に甘えてぇみたいだわ。
……付き合ってくんねぇ?」


『良いに決まってんだろ……』


ガタガタ震える悠紀仁の腕は、指先が白くなる程キツク握り絞められていて



俯いてる耳は真っ赤で、恐らく泣いてるんだろう。


「……俺、『言わなくていい。』」

『……いいから。
でも、ツライならいつでもいい。言って楽になるなら、聞かせろ。』



「……わりぃ……さんきゅな……」


頭を撫でると、俺のパーカーを掴んでた指は一層強く食い込んで


噛み締めた様な唇から小さい鳴咽が漏れて来た。







……誰が、何をしたか。


今すぐ聞き出してソイツをブッ殺しに行きてぇよ。




……でも、今のお前から聞いたり出来ねぇよ。



それまで待つから。




それまで、こうしててやるから。





頼むから泣くな。





俺、お前に泣かれるとスッゲェ弱いわ。

[*前へ][次へ#]

75/301ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!