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極楽蝶華
奈緒先輩、も……?
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今全裸だとか

そんな事頭からすっぽ抜けてて


なんとなく、今抱きしめないと壊れてしまいそうだったんだ。





風呂に入って身体が熱くなってるせいと、薬の余韻で



俺にくっつくきめ細かい肌は、擦れる度になんとなく甘い疼きが生まれた。


「……悠紀仁?」


首筋に埋まる唇が戸惑いの声を上げた。



『……奈緒先輩、も?』



「……うん。僕も。」




抱きしめられたかった自分の事も

寂しい、としか言えない漠然な不安も



『……だから全部分かってくれてたの……?』

「うん……」



抱きしめてるのは自分なのに、よしよしと背中を撫でられる。




泣き腫らした喉が焼け付く様に痛くて。



よく回らない頭で俺は必死に言葉を紡いだ。



『ねっ……じゃ、奈緒先輩も誰かにキツクぎゅう、ってして貰いたくなった?甘えたかった?』

 


「うん……だから悠紀仁が何を求めてるか、よく分かるよ。……まぁ、個人差はあるかもしれないけどさ。」






「思い出して、また怖くなって泣きたくなったらいつでも抱きしめてあげるから。」



白くて、細い指が俺の髪を撫で付ける。



「いっぱい抱きしめて、時間が経って……そしたら思い出さなくなるから。」





「僕で良かったら、悠紀仁が怖くなった時間を埋めて。」










『……っく、……うぇぇ……』



泣き出した俺を、膝の上に横抱きしてあやす様に頭を撫でてくれる。



俺は、奈緒先輩の細い首をかき抱いて自分の顔を押し付けてわんわん泣いた。





その間も、ずっと

「大丈夫。僕がいるから。」

って。




耳元で、宥める様に呟いていてくれて。




風呂のお湯は熱めで気持ち良かったけど

自分と同じくらい、もしかしたら低いかもしれない奈緒先輩から伝わる体温の方が、あったかくて心地良かった

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