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極楽蝶華
幸せな時間ほど早く過ぎるって
 
 



『……30分経ってる……』


自分でもちょっと信じられない。



キスだけで30分。




夢中になりすぎだ。




「……奈緒先輩、何かあったんですか?」


『いや、何でもないよ。独り言。』




キスの余韻の酸欠に、目を潤ませた悠紀仁が上気した紅い顔で上目使いに覗き込んでくる。



……可愛いなぁ。



そこで、ふと悠紀仁のシャツに目が行った。



『……それ、俊の?』


「へ??」


『ワイシャツ。』


「あ……そうです、けど……。」





……気に食わない。




衿ぐり大きくて隣に座って見下ろすと乳首見えるとか嬉しいことがあるけど、気に食わない。


『そうだ……お風呂入っちゃいなよ。身体洗いたいだろ?』



「あ……入ります。ありがとうございます。」



『着替え出しといてあげるから。』






まだ袖を通して無い服を一通り、クローゼットの中から取り出した。
 



策略を込めた着替えを悠紀仁に手渡す。
にんまり。





「……奈緒先輩は?」


『え?』


「一緒に入る、って昼……」






……神様、嫌がらせですかプレゼントですか?




『……悠紀仁は嫌じゃないの?』


「……今、一人になるの……怖い、です……っ。
……一緒がいい……だめですか?」






涙溜めて伏せ目がちに俯いてシャツの裾掴まれたりしたら……断れる訳ないだろ……常識的に考えて……



拷問決定。

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