極楽蝶華
危機感を持て。
「そうだ。朝約束したよね。僕の部屋来る?」
「……あ!!行きます!!」
『……何の約束だ?』
「奈緒先輩がね、実家さんから送ってきた和菓子ご馳走してくれる、って。」
……ついてっちゃ駄目だろ。
「まぁ……今後の事は優斗と一緒に相談して決めとくわ。」
『あ、そういや……。二人とも何で入れたんだよ。』
「寮に来る途中で先生に会ってね。まぁ色々省略するけど【俊が悠紀仁を部屋に連れ込んだ】って聞いて。
血相抱えて急いで管理人室から鍵だけ借りてきたんだ。」
『……マスターキーは保管庫の中だろ。』
管理人はいなかった筈だ。しかも、保管庫にはロックとパスワードがかかってる上、生徒会役員のフロアの部屋のマスターキーは更にもう一つロックされたケースの中に入ってるんだぞ。
「いやぁ、人間頑張れば何でも出来るんだよ。」
……チッ……
開けたのかよ。
澄ました顔してやっぱり食えねーな。
いや、食うつもり無いけど。食いたくねぇし。……食当たり起こしそうだ。
「じゃあ、俺はもう行くわ。明日の授業の道具教務室に置きっぱなしだし。」
けーれけーれ。
しっしっ、と手を振った。
「じゃあ、僕たちも行こうか?」
わーい、ってそんな簡単に喜んでんじゃねぇよ。
……ったく、無防備に可愛すぎるんだよ。馬鹿。
皆出ていった後リビングに戻って、ソファの横に落ちてるピンクローターを見付けた。
怒りを込めてごみ箱に力いっぱい叩き入れた。
……今日中にクビにしてやるよ。野村。
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