極楽蝶華 ふたりとも、どしたん? □■□■□■□■□■□■ 「……悠紀仁!!」 『あぇ、奈緒先輩?……とりょーちゃん先生。』 血相抱えて部屋に飛び込んでくる二人に、ケータイから視線を外した。 「……何もされてない?」 『へ?』 「二人でいる間、何か俊に変な事されてない?」 ……スイマセン。 変な事させました。 世界有数の琉崎財閥の御曹司にアレな事頼みました。 言えるわけないけどね。 『……されてない。……けど…… あ、意地悪された。』 「何?!!」 『膝の上から下ろして貰えなかった。』 ほぅ、と息を吐く二人。 奈緒先輩がこちらに歩いて来て、頭を撫でてくれる。 「……悠紀仁。辛いかもしれないけど、……聞いて?」 ソファに腰掛けた奈緒先輩が、俺を抱きしめて耳元で囁いた。 「……何があったの?」 奈緒先輩の匂いがふわふわして心地良かった。 「僕は、先生から何も聞いてない。でも、嫌なら……答えなくていい。」 包んでくれる体温がとっても気持ち良かった。 「でも、嫌な事があったなら僕にも一緒に分けて。」 『……ぅ、っ……』 背中を丁寧に撫でられて、また涙が滲んだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |