極楽蝶華 エレベーター内で □■□■□■□■□■□■ うぃーん、と。 エレベーターのモーター音が箱形の空間に響いた。 「なぁ……」 『っ!!……なに?』 いきなり話し掛けられて、ちょっとビビった。 それでなくても今神経過敏になってんのにぃ。 「……あんな嘘ついてゴメン。」 『……ホントだよ。』 「……でもな、お前とキスしたかった。それでも。」 『何でよ。』 そんなキス好きなの? 「お前が……好きだから。 キスも、お前としかしたくない。さっきの相手とは、本当にする気じゃ無かった。 ……俺は。 セックスも……キスも、俺はしたくなんてなかったんだよ。アイツとなんて。 ……交換条件出されて仕方なく。」 そーいやなんか俺の口の中甘い、とか言ってたなぁ。 後半別に聞いてないけど。 『……俺は恥ずかしいから嫌。』 「俺とは……したくない?」 やめろよ……そんな捨てられた犬みたいな眼すんの。 『……お前が嫌なんじゃなくて、キスが嫌。』 「何で?」 『恥ずかしいから。』 「俺は恥ずかしくない。」 いや……あのね、俺が恥ずかしいから、俺がしたくないっつってんだよ。 「……悠紀仁は、俺がキスしたら……嫌?」 『……キスが嫌。』 「……俺の事は、好き……か?」 イヤイヤイヤ。 顔近い顔近い。 今ちょっと話せる様な状況じゃ無いんで(特に下半身) 切羽詰まってるんでやめれ しかも、このお姫様抱っこね。 腰突き出すみたいな恰好。 うん。 まじでツライ イヤね、イケないんだよ。 これ知らなかったけどかなり辛いんですけど。 そんでさ、俊の息が耳から首筋から、かかるんだよ。 わざわざ耳元なんかで喋るから。 普段はこそばいだけなんだけど、今はソレプラス下半身が以下略。 ……薬盛られたんだからしょーがないよね。 エレベーターがガクン、と止まった拍子に……中のアレが動いて擦れる場所が変わって。 声が漏れそうになり、目の前の俊の首筋に自分の顔を埋めて、必死に声を押さえて自分を落ち着けた。 扉が開いて、俊が俺を抱えて急ぎ足に奥まで行き、俊の部屋らしいドアを開けて中に入る。 ……なんで、お前も切羽詰った顔してんだよ。俊。 [*前へ][次へ#] [戻る] |