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極楽蝶華

「悠紀仁様―ですか?」

『あ、はいそーです。今時間ありますか?』


「――はい。平気です……何か御用がおありで?」


『えーと……村上先輩、あの「悠紀仁様。」』


『あ、はい?』


「隆也とお呼びください。あと私に向かって敬語は……使わずに、お願いします。」


『え……でも、村上先輩は先輩だし……呼び捨てとか、無理です。
村上先輩こそ……その、【様】っていうの……取っていただけませんかね。』



「……悠紀仁様に敬語など使わせていたら、周りの者に示しが付きません。」


あ、……そっか。
村上先輩の家は代々藤堂の家の右腕、みたいなことをやってるんだ。

じーちゃんの秘書も、悠貴さんの秘書も……あの馬鹿親父の教育係も、村上先輩のお父さんとお兄さん達だったな。

聞いた話では。



俺が変に気を使ったりすると……お兄さんとかに怒られたりしちゃうんだろーなぁ。

お兄さん真面目そうな人だったし。



『あのぉー。……じゃあ、せめて【隆也さん】で良いですか?俺がもっと大人になったら、そのときに。』


「……かしこまりました。」



「――それで、悠紀仁様。御用件は何でしょうか。」


あ、忘れてた。

(←馬鹿)

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