極楽蝶華 2 「悠紀仁様―ですか?」 『あ、はいそーです。今時間ありますか?』 「――はい。平気です……何か御用がおありで?」 『えーと……村上先輩、あの「悠紀仁様。」』 『あ、はい?』 「隆也とお呼びください。あと私に向かって敬語は……使わずに、お願いします。」 『え……でも、村上先輩は先輩だし……呼び捨てとか、無理です。 村上先輩こそ……その、【様】っていうの……取っていただけませんかね。』 「……悠紀仁様に敬語など使わせていたら、周りの者に示しが付きません。」 あ、……そっか。 村上先輩の家は代々藤堂の家の右腕、みたいなことをやってるんだ。 じーちゃんの秘書も、悠貴さんの秘書も……あの馬鹿親父の教育係も、村上先輩のお父さんとお兄さん達だったな。 聞いた話では。 俺が変に気を使ったりすると……お兄さんとかに怒られたりしちゃうんだろーなぁ。 お兄さん真面目そうな人だったし。 『あのぉー。……じゃあ、せめて【隆也さん】で良いですか?俺がもっと大人になったら、そのときに。』 「……かしこまりました。」 「――それで、悠紀仁様。御用件は何でしょうか。」 あ、忘れてた。 (←馬鹿) [*前へ][次へ#] [戻る] |